こんにちは!個別指導WAMです(^^)/
『偏差値』
受験生や模試を受けたことのある人なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
自分の学力レベルを知るために用いられる数値ですが、どのように算出されているか知っていますか?
今回は、【自分で偏差値を求めるには?正しい計算方法】についてお話したいと思います。
そもそも偏差値とは?
集団の中での自分の位置を表した数値
偏差値とは、同じ試験を受けた集団の中で自分がどの位置(何番目)にいるのかを表した数値です。
テストの平均点を偏差値50になるように計算し、その基準からテストの点数がどれくらい高い、もしくは低いのかを表します。
偏差値を算出することで、相対的に自分の実力を把握することができるようになります。
平均点の異なるテストの成績を比較できる
数学と国語など、平均点の違うテストの成績を比較することができます。
問題の難易度によって平均点は異なるため、点数だけでは違う教科同士の比較はできませんが、偏差値を用いるとそれが可能となります。
例えば、数学の平均点が75点、国語の平均点が55点のテストで、数学が85点、国語が65点だった時の偏差値がどちらも60だったとします。
テストの得点に差があるのに偏差値が同じ理由は、平均点の違いにあります。
国語の点数だけ見ると、それほど高くはありませんが、平均点が55点のテストで数学よりも難しかったことが分かりますね。
そのため、得点に差がある数学と国語の偏差値が同じになり、学力も同じくらいになる、というように違う教科同士の比較が可能となるのです。
偏差値の基準は「50」
偏差値は50を基本としており、平均点からどれくらい差があるのかを表した数値であるため、平均点と同じであれば偏差値は必ず「50」となります。
一般的な学校の定期テストなどでは偏差値30~70の範囲に収まりますが、計算上はマイナスや70以上の数字になる場合もあります。
テストを受けた集団内における自分の位置の目安は、偏差値70程度が上位、偏差値50がちょうど真ん中、偏差値30程度が下位となります。
偏差値の計算方法
では、実際に偏差値はどのように算出されるのでしょうか?
偏差値を求める公式は下記のとおりとなります。
【(個人の得点-平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50 = 偏差値 】
この公式について、順に説明していきます。
① 平均点を求める
まずは、テストの平均点を求めます。
平均点は下記の式で求めることができます。
『全員の得点の合計 ÷ 受験人数 = 平均点』
例えば、5人が数学のテストを受け、それぞれの得点が以下であったとします。
自分:80点、A:65点、B:95点、C:40点、D:55点
この場合の平均点は、
( 80 + 65 + 95 + 40 + 55 )÷ 5 = 67
となるため、平均点は67点となります。
② 平均点との差を求める
平均点が分かったら、その平均点と自分の得点との差を求めます。
平均との差は下記の式で求めることができます。
『平均点-自分の得点 = 平均との差』
例の場合で言うと
80 - 67 = 13
となるため、平均点との差は13となります。
テストの点数が平均よりも低い場合は、この数字がマイナスとなります。
③ 2乗した値を求める
続いて、平均点との差を2乗した値(平方数)を求めます。
平均点との差を2乗した値は下記の式で求めることができます。
『平均点との差 × 平均点との差 = 2乗の値(平方数)』
先程の計算で、平均点との差が13であったため
13 × 13 = 169 となります。
④ 分散を求める
次に、テストの点数がどれくらい散らばっているかを表す値である分散を求めます。
分散は下記の式で求めることができます。
『全員の2乗した値(平方数)の合計 ÷ 受験人数 = 分散』
今回の例の場合だと、「得点・平均点との差・2乗した値」はそれぞれ以下のとおりとなります。
自分:70点・13・169
A:65点・-2・4
B:95点・28・784
C:40点・-27・729
D:55点・-12・144
これらの数字を公式に当てはめると
( 169 + 4 + 784 + 729 + 144 )÷ 5 = 366
であるため、今回のテストの分散は366となります。
⑤ 標準偏差を求める
分散が分かったら、分散の正の値の平方根である標準偏差を求めます。
分散では、点数を2乗しており単純に比較することができないため、標準偏差でルートにすることにより比較しやすくなります。
標準偏差は下記の式で求めることができます。
『√分散 = 標準偏差』
今回の例での分散は366なので
√366 = 19.1311264697 × 19.1311264697
となり、標準偏差は19.13となります。
⑥ 平均との差に10をかけて標準偏差で割る
全体の点数のばらつきを踏まえた上で、自分の点数と平均との差をみるために、平均との差に10をかけて標準偏差で割る計算を行います。
『平均点との差 × 10 ÷ 標準偏差』
今回のテストの自分の得点に当てはめると
13 × 10 ÷ 19.13 = 6.795(≒ 6.8) となります。
⑦ 偏差値を求める
先程の計算で算出した数字に50を加えた値が偏差値となります。
『平均との差に10をかけて標準偏差で割った値 + 50 = 偏差値』
その結果、今回のテストにおける自分の偏差値は
6.8 + 50 = 56.8 となります。
標準偏差無しで簡単に偏差値を算出する方法
正確に偏差値を算出するためには、自分以外のテストを受けた全員の得点情報が必要となります。
しかし、標準偏差が分からない場合でも、簡単に偏差値を算出する方法があります。
この方法で算出された偏差値はあくまでも目安となるため、正確な偏差値が知りたい場合は模試などを受けると良いでしょう。
偏差値簡易計算
『50 +(自分の得点-平均点)÷ 2 = 偏差値』
先程の例の数字で計算してみると
50 +(80-67)÷ 2 = 56.5 となります。
標準偏差を用いて計算した場合は「56.8」であったため、おおよそ合っていると言えるのではないでしょうか。
簡易計算であるため実際の偏差値とは誤差があり、その誤差が大きく出てしまう可能性もあります。
偏差値の目安をどうしても確認しておきたい場合に限り使用するのがおすすめです。
中学受験~大学受験によって偏差値は異なる
偏差値はテストを受けた人たちが「どのような集団」であるかによって値が異なります。
中学受験~大学受験においての偏差値の違いについてみていきましょう。
中学受験
中学受験における偏差値は、高校受験などに比べて偏差値は上がりづらくなっています。
理由は、たいていの小学生は受験をせずに公立中学校へ進学するため、中学受験をする小学生が限定されるからです。
早くから受験を見据えて勉強をしてきた子供も多く、模試の受験者は比較的成績上位のグループとなるため、偏差値は上がりづらくなります。
高校受験
高校受験における偏差値は、上がりやすい傾向にあります。
理由は、ほとんどの中学生が高校を受験するからです。
そこには、志望校合格のために努力してきた学生だけでなく、勉強不足の学生も含まれます。
そうすると、得点にもばらつきが出るため、ある程度勉強していれば偏差値は上がりやすくなります。
大学受験
大学受験における偏差値は、上がりづらい傾向にあります。
理由は、高校生は就職と進学で進路が分かれ、模試などを受けるのは大学受験をする学生のみとなるからです。
さらに浪人生なども受験するため、全体的に成績の高いグループとなります。
そうすると得点の差が少なくなるため、偏差値が上がりづらかったり、高校受験時よりも偏差値が下がってしまうこともあります。
しかし、それらは単純に成績が伸びていない、もしくは下がっているのではなく模試の受験者層の違いが大きく影響しているのです。
偏差値に関する注意点
偏差値の利用価値が低くなる場合がある
偏差値は、テストを受けた集団の中で自分の位置を表す指標となりますが、テストを受けた人数が少ない場合はその利用価値は低くなります。
また、受験者の学力レベルが異なる別の集団で受験したテストの偏差値は比較することができません。
例えば、校内テストでの偏差値と全国規模の模試における偏差値では、受験した集団の学力レベルや得点のばらつきが異なるため、公平に比較し判断することはできません。
そのため、成績を偏差値で比較する場合は、受験者の学力レベルや受験者数なども確認する必要があります。
内申点から偏差値を求めることはできない
テストの偏差値と同じように成績を数値化したものに「内申点」があります。
ある程度のガイドラインはありますが自治体によって算出方法が異なり、学校によって生徒の成績が異なるため、同じ内申点でも学力が同じとは限りません。
また、偏差値と内申点は似て非なるものであるため、内申点から偏差値を算出することはできません。
まとめ
偏差値の仕組みについて理解できましたか?
自分で正確に偏差値を算出することは受験者全員分の得点情報が必要となるため少し難しいですが、簡易的な方法であれば、おおよその偏差値を求めることができます。
また、偏差値は受験者層によって値が変わるため、その数値に一喜一憂することなく、志望校に向けて自分のペースでしっかりと学習することが大切です。