2023.02.20
【共通テスト現代文10年分講評ー9】2018年①
【2018年 評論文】 【有元典文・岡井大介 『デザインド・リアリティ』】 【全体講評】 やや難。25分。 文章量と図の登場に、 少々面食らった受験生も 多いかもしれない。 しかし本年度の文章は、 身近でわかりやすい具体例を どんどん示してくれるぶん、 前年度の硬質な科学評論「ゴレム」 と比較するとやや読みやすく、 力のある受験生なら満点も可能だ。 それでも、 現古漢合わせ40ページ超の問題量を たった80分で、と考えると、 やはり総じては「やや難」と 言わざるを得ない。 【本文要旨…
2023.02.19
【共通テスト現代文10年分講評ー8】2017年②
【2017年 小説】 【野上弥生子『秋の一日』】 【全体講評】 やや難。25分。 評論文と同じく前年より難化。 満点は可能だが、 前年度より時間を要するだろう。 リード文をじっくり読む。 「病弱な主人公が、 夫がくれた手提げ籠で、 ピクニックすることを夢見る」 話なのだとマインド・セットする。 次に設問に目を通し、 問5から「主人公が子供を見守る時の 心情に特に注意して読もう」と留意。 さらに問5・問6に関しては、 選択肢にまで簡単に目を通し、 「かァかァ」や「運動会」や 「美術品」や「とや、とや」や 「あんよ」や「22行目…
2023.02.18
【共通テスト現代文10年分講評ー7】2017年①
【2017年 評論文】 【小林傳司 『科学コミュニケーション』】 【全体講評】 やや難。30分。 「難」に近い「やや難」。 前年度は20分程度で満点が狙えたが、 今年度は下手すると30分ほどかかり、 しかも満点は至難。 特に問4が難しい。 「適当」な選択肢はいくつかある。 「最も適当」な選択肢を選ぶ (相対的判断をする)のが 現代文という科目の難しさ。 読解の際は必ず手を動かすこと。 大事だと思う部分には線を引く、 キーワードだと思う箇所は丸で囲む。 それらを繋いで読み直せば、 それらがそのまま その文章の要約文になっている、 これが現代文の学習の ひとつの到達点だ。 最初はピン…
2023.02.17
【共通テスト現代文10年分講評ー6】2016年②
【2016年 小説】 【佐多稲子『三等車』】 【全体講評】 標準。20分。 1950年代の古い小説だが、 ストーリーは明快。 前年の「石のような孤独」 に比べると易しくなった。 本年のように、 「評論文では時代の最先端の テーマを読み解く」、 「小説では過去の時代と人々に 想像力を馳せる」 というコンビネーションは とても良いと思う。 「電車に等級が存在する」 「切符を闇(取引)で購入」 などの現代とは異なる環境を、 客観的に読み取っていきたい。 紛らわしい選択肢もなく、 力のある受験生なら、 1…
2023.02.16
【共通テスト現代文10年分講評ー5】2016年①
【2016年 評論文】 【土井隆義 『キャラ化する/される子どたち』】 【全体講評】 標準。25分。 14年の馴染みのない 「漢文」がテーマの文章、 15年のやや難しい 「ネット・歴史・啓蒙」の文章、 に比べ、読み易い文章。 共通テストはこのレベルで 毎年平均化していいと思う。 2年続けて時代の最先端のテーマ。 文章量も例年に比べると少なく、 力がある受験生なら 20分もあれば満点が取れるだろう。 「現代の若者の戦略的キャラ化」 「キャラ化も悪いことじゃない」 という論旨が一気通貫しており、 非常に簡潔明快な文…
2023.02.15
【共通テスト現代文10年分講評ー4】2015年②
【2015年 小説】 【小池昌予『石を愛でる人』】 【全体講評】 やや難。25分。 孤独な心を石に喩えた、 随筆に近い純文学。 ストーリーが解り易かった 2014年度より難化。 評論文同様、問6を両方 正解するのは中々骨が折れる。 一般的には ネガティブイメージな「孤独」が、 この文章ではむしろ ポジティブなイメージを 付与されていることを読み取れたか。 【本文要旨】 石を愛でる、 亡くなった妻の愛を惜しむ、 「アイセキカ」山形さんと、 同じく石が好きで孤独な私の、 心の交流。 「言…
2023.02.15
【速報!】都立高校一般入試最終倍率!平均倍率は1.43倍!(町田市・八王子・調布市・立川市周辺)
こんにちは!個別指導WAM成瀬校です! 東京都教育委員会は2月14日に都立一般入試の最終応募状況を公開しました。 本日は町田市・立川市・調布市・八王子市周辺の倍率について掲載させていただきます。 さて、上記市周辺の一般入試最終応募状況は 下記のようになりました。まずは倍率からご確認ください。 今回の町田周辺の有効募集数は前回と変わらず4,257人ですが、 応募者人数は6,067人と少し減少しました。 上記高校の平均倍率は1.43倍となりました。 変更に伴い倍率が上昇した学校は以下の通りです。 【倍率が増加した高校】 町 田 1.16 → 1.23(↑0.07) …
2023.02.14
【共通テスト現代文10年分講評ー3】2015年①
【2015年 評論文】 【佐々木敦『未知との遭遇』】 【全体講評】 やや難。25分。 まずタイトルに目を通す。 次に設問にざっと目を通す。 今回の場合、 たとえば「問6」はその都度解いてく。 そして「問5」に目を通すことにより、 「啓蒙」が本文のテーマだと留意し、 読み進めていく。 評論文の場合は、 各設問は基本的にはその都度解く。 しかし根拠に迷うようなら、 深追いせず、いちど保留し、 先を読み進めてから立ち戻る 臨機応変さを持ってほしい。 今回は、 ネット社会と歴史・啓蒙を紐づけて 「ゼロ年代」を論じた、最…
2023.02.13
【共通テスト現代文10年分講評ー2】2014年②
【2014年 小説】 【岡本かの子『疾走』】 【全体講評】 やや難。目標20分。 これぞ共通テスト(センター試験)、 じっくり取り組めば「標準」だが、 時間がタイトなので「やや難」。 理想はある程度抑揚をつけた速読だが、 あまりに速読に走ると乱読と堕し、 大事なキーワードを見過ごしてしまう 可能性を孕むジレンマで本当に難しい。 小説の基本的な読み方。 「ある出来事」をきっかけに、 主人公の気持ちが変化する。その心情の 「ビフォーアフター」を読み取る。 しかしその心情は 「悲しかった」などとは 直接には描写されないことがほとん…
2023.02.12
【共通テスト現代文10年分講評ー1】2014年①
【2014年 評論文】 【齋藤希史『漢文脈と近代日本』】 【全体講評】 やや難。目標25分。 話題の中心が「漢文」というだけで、 「現代文も漢文かーい」と、 漢文ぎらいの生徒はゲンナリしたハズ。 「寛政異学の禁」 「士大夫」「科挙」など、 最低限の日本史や世界史の知識も必要。 吟味を要し、時間だけ食う、 表現の特徴を問う問6も受験生泣かせ。 日本文化の根源には 中国文化(漢文)があり、 当時の日本の知識階級にとって 漢文は必須の素養であった。 そして近世の士族階級のみならず、 明治期の知識人 (福沢諭吉や夏目漱石など)も、 …