2022.12.30
【世界史コラムー1】世界史とは①
【迷ったら日本史を選択しよう】 【しかし世界史は教養人としては必須】 受験界ではよく、 「日本史は狭く深く、世界史は広く浅く」 と言われます。 しかし早稲田や慶應クラスの 世界史の問題が「浅い」ワケはなく、 実際には難関大の世界史は 「広く深い」ので、 受験生の皆さんは、 もし世界史か日本史かで選択を迷ったら、 迷わず日本史を選択しましょう。 日本史は、そもそも 小学校・中学校の「社会」の段階で、 大げさに言えばすでに半分ほどは、 大学受験の日本史に必要な知識を 学び終えています。 しかし世界史は、 高校の「歴史総合」で 事実上初めて本格的に学ぶので、…
2022.12.30
【倫理コラムー30】これでおしまい
全30回にわたって お送りしてきました【倫理コラム】、 これにていったんおひらきです(笑)。 倫理とは結局、哲学のことです。 人が生きるためには、 何かしらの道標(指針)が必要で、 哲学という教養はそれのひとつです。 人生という荒波の航海の途で、 壁に当たった時。 先人たちの知恵が 啓蒙して(暗闇を照らして) くれるかもしれません。 (哲学の木) 次回からは、 【世界史コラム】を始めます(笑)。 受験生のみなさんは、 【倫理コラム】と同じく、 本格的な受験勉強の 前段階・橋渡しとして、 気楽に読んで下さい。 きっとお役に立てると思います。
2022.12.27
【倫理コラムー29】ガンディー/キング牧師
【ガンディー&キング牧師】 得意技:非暴力&反差別 活躍した時代: 現代インド/現代アメリカ ガンディーは言わずと知れた聖人です。 イギリスの植民地主義(暴力)に対し、 徹底した非暴力での抵抗を貫徹しました。 ちなみにインドには、 ヒンドゥー教徒とイスラム教徒がいます。 ガンディーは、彼らの共存 (どちらかの排除ではなく包摂)を 最後まで追求しました。 そして最後は身内である ヒンドゥー教徒に暗殺されてしまいます。 キング牧師は、 上記の聖人ガンディーに影響を受け、 奴隷解放宣言以降も根強く残っていた、 アメリカの黒人差別と戦った人物です…
2022.12.22
【倫理コラムー28】ロールズ/サンデル
【ロールズ/サンデル】 得意技:正義論/共同体主義 活躍した時代:現代ヨーロッパ/ 現代アメリカ ロールズは、 ホッブス/ロック/ルソーの「社会契約説」を 援用(参考に)し、「正義」について考えた人です。 いちばん大事なのは「自由」だが、 「平等」(機会の平等、格差是正) もそれに次いで大事だ、と言いました。 現代の「リベラリズム≒福祉国家」 の理論に影響を与えました。 サンデルは、 ロールズの自由主義(リベラリズム)を、 「自由過ぎる」と批判しました。 人は共同体なしには自由に振舞えない、 人間は共同体に縛られてこそ自由だ、と、 共同体(が示す共通善に導かれること
2022.12.14
【倫理コラムー27】フーコー/デリダ
【フーコー】 得意技:狂気の解放/脱構築 活躍した時代:現代ヨーロッパ フーコーは、 ソシュール⇒ストロースと続く「構造主義」の系譜を、 さらに深め、そして疑いました(ポスト構造主義)。 現代は監視社会(≒ベンサムのパノプティコン)であり、 理性の名のもとに抑圧されてきた「狂気」や「性」を、 もっと開放するべきだと唱えました。 そういう意味では、フロイトやストロースと同じく、 理性や西洋の絶対性を疑いました。 デリダもその「ポスト構造主義」の系譜です。 彼は男>女、西洋>東洋のような、 西洋哲学伝統の「二項対立」の見方、および、 前者が後者より優れているというような固定観念、
2022.12.12
【倫理コラムー26】レヴィ=ストロース
【レヴィ=ストロース】 得意技:構造主義 活躍した時代:現代ヨーロッパ 彼は元々哲学者、 あるいは前回のコラムで紹介したソシュールに 影響を受けた言語学者でしたが、 アマゾンでのフィールドワークを通じ、 文化人類学者に転向しました。 そこ(=アマゾン)で彼は、 「野生の思考」(=非西洋の神話的思考様式)が、 決して「文明の思考」(=西洋の合理的思考様式)に 劣るものではないことを発見しました。 前者は具体思考、後者は抽象思考、 という違いがあるだけで、両者に優劣はない。 そうして西洋の絶対性を相対化しました。 そういう意味では、 彼は文化相対主義の祖でもあります。
2022.12.07
【倫理コラムー25】ソシュール
【ソシュール】 得意技:構造主義 活躍した時代:現代ヨーロッパ ソシュールは言語学の祖です。 フロイトやユングが「無意識」を武器に、 理性に疑問を呈したように、 ソシュールは「言語」を武器に、 理性に疑問を呈しました。 人間は自身の理性で自身を自由に コントロール出来ていると考えているが、 それは誤りだ。 人間は言語を含む社会(=構造)に縛られており、 人間の考え方は、 フロイトの「リビトー」と同じように 「無意識に」「不可避的に」、 それら構造の影響を受けている。 こんなふうにソシュールは考え、 彼には始まる系譜を「構造主義」と言います。 たとえば日本語には 「…
2022.12.05
【倫理コラムー24】フロイト/ユング
【フロイト/ユング】 得意技:無意識/集合的無意識 活躍した時代:現代ヨーロッパ 今まで一生懸命、 理性だ経験だ実存だと言ってきたのに、 「そもそも人間は無意識に支配されているんですけど」 と言って哲学界に衝撃を与えたのがフロイトです。 人間の心は 以下の3層構造であるとフロイトは言います。 今までの哲学が扱ってきた「いわゆる意識」 =「①エゴ(自我)」、 その上に「いわゆる道徳」 =「②スーパーエゴ(超自我)」、 いちばん下に「いわゆる制御不能な無意識」 =「③リビトー(性的衝動)」。 われわれの意識(①)は、 所属するコミュニティーの規範(②)と、 動物的制御不能性(③)の…
2022.12.01
【倫理コラムー23】パース&ジェームズ&デューイ
【パース&ジェームズ&デューイ】 得意技:プラグマティズム(実用主義) 活躍した時代:現代アメリカ 上記の3人はプラグマティズムという系譜で、 イギリス経験論の系譜を受け継ぎ、 哲学は結果(有用性)だと述べました。 神が存在すると考えることに意味があるのは、 それによって「人間が安心する」という ベネフィット(利益)があるからこそだ、 利益(有用性)がない哲学は哲学じゃない、 哲学はある意味では幸福のための道具だ、と。 ある意味ではとてもアメリカらしい考え方(苦笑)。 またデューイは、教育にも造詣が深く、 「問題解決型」(グループワークやPDCAサイク
2022.11.29
【倫理コラムー22】サルトル
【サルトル】 得意技:実存は本質に先立つ 活躍した時代:現代ヨーロッパ サルトルも キルケゴール・ニーチェ・ハイデガーの、 実存主義の系譜です。 ちなみに、 ハイデガーの恋人が 「全体主義の研究」のアーレント、 サルトルの恋人が 「フェミニズム」のボーヴォワールです。 サルトルは、 自らも大衆と社会運動に参加した 「行動する哲学者」です。 彼は「実存は本質に先立つ」と言いました。 えんぴつは書くために生まれます。 牛は(少し残酷に響くかもしれませんが) 人間にお乳やお肉を提供するために生まれます。 では人間はどうするために 生まれるのでしょうか? ・・・その答はありません。 すなわち、 人間