教室ブログ

2025.03.03

現在進行形

こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。

 

英語の「完了形」と聞くと、高校生も顔を曇らせがちです。「完了形ってどうもよくわからん」「過去形と現在完了形ってどう違うの?」と思う人は多いのではないでしょうか。今回はその「完了形」のお話です。

 

言語によって過去・現在・未来という「時」の表し方は異なります。日本語は日本語の、英語には英語の「時」の表し方があるわけです。この違いがわかりにくくしているんですね。

特に英語でいう「完了形」の表現のしかたは日本語にはありません。だからわかりにくくて当然ですし、何より日本語でいう「完了」と英語でいう「完了形」とは、実は意味するところが全く違います。日本語の「した」「する」「してしまった」などの表現に頼ると、結局何だかよくわからなくなってしまうのはそのためなのです。

では英語の「完了形」とはどういう表現方法なのでしょうか。

 

実は英語の「時」の表し方には「時制(テンスtense)」と「ありさま(アスペクトaspect)」の大きく二軸があります。時制には「現在」「過去」「未来」の三つ、ありさまには「シンプル形」「進行形」「完了形」「完了進行形」の四つがあり、時制のそれぞれにありさまがあるので、まとめると次の12種類があることになります。

 

 

 

 

ありさま

シンプル形 進行形 完了形 完了進行形
時制 現在 現在形 現在進行形 現在完了形 現在完了進行形
過去 過去形 過去進行形 過去完了形 過去完了進行形
未来 未来形 未来進行形 未来完了形 未来完了進行形

では時制とありさま、それぞれどう違うのでしょうか。

まず時制ですが、「現在」「過去」「未来」のそれぞれが独立していて、別の時制のことは表しません。例えば過去は、「現在とは無関係の過去の事柄」を表現します。

次にありさまは、それぞれの時制のありさまをもう少し詳しく、区別して示すものです。例えば「進行形」をみてみましょう。

(1) He sleeps well.(彼はよく眠る)

(2) He is sleeping well.(彼はよく眠っている)

(1)は「いつもよく寝ているよね」、睡眠は十分にとれているだろう、というニュアンスがあります。一方(2)は「彼はまさに今よく眠っている」という意味になります。

(1)も(2)も現在のことを示していますが、その表し方を変えることでより正確に、また豊かに表現できるのですね。これがありさまによる違いです。

 

ではいよいよ、その「完了形」とはどういうありさまなのか、みていきましょう。

先の表をもう一度みてください。「現在完了形」の時制はあくまで「現在」でしたね。だから「現在完了形」はあくまで<いま>の話をしているのです。

例えば次の英文を比べてみましょう。

(3) My father gave up alcohol.(父は酒をやめた)

(4) My father has given up alcohol.(父は酒をやめている)

(3)の文は過去形ですね。これは「父が酒をやめた」という過去の事実しか言っておらず、現在はどうなのかは述べていません。では(4)はどういう意味になるでしょう。現在完了形はあくまで<いま>の話をしているので、「父はいま酒をやめている」ということが言いたいのです。ただ、単に今のことを言うのではなく、過去と今とをつなげて「前は飲んでいたけど、あるときから酒をやめたんです」という意味になります。

このように、「過去のいきさつとつなげて、<いま>の状況を述べること」が現在完了形の意味する、あるいは「完了形」というありさまの示すところなのです。

 

別の例をみてみましょう。

(5) We talk that there was the disaster.(私たちは災害があったことを語り合う)

(6) We talk that there has been the disaster.(私たちは災害があったことについて話し合う)

(5)は過去にあった災害について「こんなことあったよねぇ」と思い出を語り合っているイメージです。(6)は現在完了形、つまり<いま>を言いたいわけなので、過去にあった災害を振り返り、その上で今どうすればよいだろうかと対策を話し合っているイメージになります。

 

次はどうでしょうか。

(7) I finished my homework.(宿題が終わった)

(8) I have finished my homework.(宿題は終わってしまった)

(7)は「宿題が終わった」という事実だけです。(8)の現在完了形は<いま>を言いたいのですから、「宿題が終わって今はヒマだ/手があいている」という意味も含んでいます。

 

ところで、学校では「現在完了形には経験・継続・完了の三用法がある」と習ったのではないでしょうか。実はいま挙げた例文はそれぞれを示しています。

(4)→継続用法

(6)→経験用法

(8)→完了用法

いずれも過去のいきさつとつなげて<いま>の状況を述べていることがわかるでしょうか。先に書いたように「完了形」は日本語にはない表現方法なので、日本語として意味が通りやすいように三用法に分類整理されたものですが、本質的には同じ状況を示しているのです。

 

このように日本語と英語で「時」の表し方は異なります。問題を解くとなると厄介ですが、言語によっていろいろ変わっているというのは面白いと思いませんか。英語の学習を通じて、ぜひ様々な言語があることを体感してもらえると嬉しいなと思います。

 

【参考文献】

桐原書店「総合英語Forest 第7版」

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