<出典>
渡辺裕
「サウンドとメディアの文化資源学」
<難易度・目標時間>
やや難・25分。
本文自体はやや難しいが、
付随する「生徒Sさんの文章」と
設問はやや易しく、
バランスされている印象。
平易な「生徒Sさんの文章」が
やや難しい本文と
当然ながら関連・対応しているわけで、
遡って本文の理解の助けとしたい。
特に(問6)はやさしいので、
ちまちま消去法を駆使せず、
ズバッと即答3連発したい。
すると20分以内解答も見えてくる。
<要旨>
現代は「博物館化」の時代。
現代は作品そのものだけでなく、
それを取り巻く「コンテクスト」をも
鑑賞したいと欲する時代。
しかし「芸術」はそのような
「鑑賞のまなざし」があって
「はじめて」成立するものであり、
「芸術」それ自体を
本質化・自明化することは危険だ。
<問1> 2・3・2・2・3 標準
掲載・活躍・催し・悪弊・紛れ。
*1問までのミスで乗り切りたい。
<問2> 5 標準
▶「典礼なのか音楽なのかかなり微妙」
⇒二元論では解決できない
⇒複合的・同時並行的・相互不可分的
(1)「典礼」のみに寄っていて×
(2)「音楽」のみに寄っていて×
(3)「音楽」のみに寄っていて×
(4)CDじゃなく、DVD…。で、✕
*(4)と(5)で迷う
*即答できなければ無理をせず
しばらく先を読み進めること。
*いきなり選択肢を見ないこと。
ある程度「解答のイメージ」を
描いてからでないと、
消去法に時間を食ってしまう。
<問3> 1 標準
▶現代芸術が置かれている「状況」説明
⇒「博物館化」
⇒「作品」+「コンテクスト」鑑賞
⇒「鑑賞するまなざし」の拡大
(2)「その周辺に関心が移り」が✕。
作品にもその周辺(コンテクスト)
にも両方関心はある。
(3)「地域全体を展示空間とみなす」
が✕。「作品とみなす」が正しい。
(4)「作品を博物館に取り込んだ」は
現代ではなく19世紀の状況で✕。
(5)「町をテーマパーク化し人々の
関心を呼び込む」が記述なしで×。
*(1)と(4)で迷う
<問4> 5 やや難
▶10段落冒頭「簡単に言えば」
⇒芸術は「ある」のではなく「なる」
⇒「鑑賞の眼差し」があり始めて成立
⇒自明ではない・本質ではない
⇒絶対視は危険
(1)「人々の心性」がピントずれで×
(2)芸術の多様化は
「コンサートホール」や「美術館」を
超えて「鑑賞のまなざしが拡大」
したことによるものなので✕。
(3)「あらゆるものが芸術化」
する状況を説明できないから
「警戒心を持つべき」ではない。
「芸術自体が普遍化=聖域化」
してしまいかねないから
「警戒心をもつべき」。
因果関係がおかしいから✕。
(4)現代に於ける
「芸術のイデオロギー」は
「コンサートホール」や「美術館」
だけで生まれているのではない。
「鑑賞のまなざしの拡大」
=「美術館などの外」も
「概念(価値観)の適用範囲」。
「博物館の内と外」の相互作用で
「現代芸術のイデオロギー」は誕生。
*(4)と(5)で迷う
*この問はつべこべ言わず、
まさに「芸術の本質化は危険」
という「解答のイメージ」を持ち、
積極法でズバリ(5)を即答したい。
「最も適当」なのは(5)しかない。
(問5) 3 やや易
(3)「別の問題への転換」が✕。
*構成・展開に関する問題は消去法で
(問6)(i) 1 やや易
▶小説を読み
⇒舞台の町を歩くことで
⇒町がいつもと違って見える
*積極法でズバリ!
(問6)(ii) 3 やや易
▶小説を読み
⇒舞台の町を歩くことで
⇒町がいつもと違って見え
⇒小説を読み返しても新たな発見
⇒なぜなら実際に町を歩き
そのイメージを作品に重ねたから
*積極法でズバリ!
(問6)(iii) 2 やや易
▶文章冒頭
「作品を現実世界とつなげて鑑賞」
に近い選択肢を選ぶ
*積極法でズバリ!
*本文は
「作品」と「コンテクスト」の
弁証法(両方の融合・相互作用)
*Sさんの文章は
「作品」と「現実世界」の
弁証法(両方の融合・相互作用)