「1日〇時間、勉強しなさい」
学習時間が多いほど成績も上がるはずなのですが、現実には成績が伸びる生徒と成績が伸びない生徒に2極化しています。それは、時間数確保が目的になってしまっているからです。
「1日〇時間」式の学習は、「〇時間」で何をやるかを生徒と一緒に考えることが必要です。新人や知見のない指導者が、何も考えずに「〇時間勉強しろ!」と言うと、生徒は学習時間をこなすことが目的となり、その内容や目的が曖昧になってしまいます。目的なくこなす学習時間は無駄でしかなく、生徒によっては「すで覚えた単語を練習する」といった時間をこなす学習を行います。学習目的が「学力向上」ではなく、「時間数確保」になってしまっているのです。
また、上記のような学習時間を中心にした学習は本人の意識も学習時間に向くため、報告も実際よりも盛りがちです。上位の優秀な生徒は放っておいても正確な時間をきちんと記録しますが、中堅~下位の成績層の場合、やってもいない学習を付け加えてやったことにするような傾向があります。生徒を悪い方向にミスリードしてしまう危険性が「学習時間注目型」にはあります。自分の学習の目的を理解し、やるべき内容を時間に関わらずやり切ることが重要であり、学習時間は結果的についてくるものです。
成績の上がる学習時間の使い方
では、成績が上がる学習時間を作るにはどうすれば良いのか?
成果が出やすいのは「〇〇までに△△を終わらせる」といった、学習内容に期限を設けて逆算的に学習時間を確保する方式です。具体的には、「苦手な歴史であと15点取れるようにしたい。そのために、この問題集の章末問題だけを1週間ですべて終わらせる」等とやるべき内容を設定する方法です。ポイントは、
1.何のための学習かを確認
2.必要な学習メニューを視覚化
3.いつまでにどう取り組むか、期限と手法を決める
4.期限になったらノートや問題集の現物の内容をチェックしてもらう
たとえば、高校入試で歴史の問題をあと10点上げるために、「歴史の問題集を使って歴史を強化する」という目標を立てます。必ず入試で合格点を取るためにどうするかという点から逆算することが大事です。自分で決められない場合は塾の先生等に何をやるべきか聞くといいでしょう。
「歴史の問題集で、章末問題だけをすべて完璧にする」というようなメニューを決めます。使用する問題集と該当ページをすべて具体的に決めることが重要です。自分一人で自信がなければ塾の先生等に相談してみましょう。
上記のように、特定の問題集の章末問題をやる際、いつまでにどれくらいのペースでやるかを決めることが重要です。例えば、章末問題を1週間でやろうとした場合、章末問題が全部で30ページあり、答え合わせも含めて1ページやるのに20分かかるとすると、20分×30ページ=600分(10時間)必要ということがわかります。1週間で10時間を確保すると、月~金は1日1時間で土日に2.5時間ずつやるといったペース配分が見えてきます。自分ができるペースで決めること、決めたら最後までやる切ることが重要です!
最後に、このペースでこの問題集をやると決めたら、それを塾の先生に宣言して、期限になったら見てもらうという約束をしましょう。塾に行っていない場合は、学校の先生や両親等に相談してもよいですし、友達との約束としてもよいです。宣言をして、実際に提出をするという流れを作り、自分にプレッシャーをかけることが大事です。これを他の教科も含めて積み上げていくと1日何時間学習に割くべきかが分かります。そして、時間数ではなく、やり切った問題数が実績として残っていくようになり、これが重要です。
やるべき内容と期限を設定して逆算するやり方をとると、「1日〇時間学習しよう」ではなく、「1日〇時間学習しないとこのメニューが終わらない」となります。この状況が成績向上のためには重要です。目的から逆算すれば結果的に1日の学習時間が決まります。
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