子供を叱ると嫌な気分になります。子育てをしていて経験された方は多いと思います。学習塾でも指導中、叱らなければいけない場面はたくさんあります。問題点を指摘し、改善を促さなければいけないと考えるからです。しかし、子供を叱ることで子供も自分も嫌な気分になるので、できれば減らしたいものです。ですが、同じ理由で何度も叱らなければいけない時もあります。
人間はそう簡単に変われるものではありません。誰もが同じ失敗を繰り返してしまったことはあります。子供であればなおさらです。
しかし、そうではない場合もあります。子供自身が納得していないから、叱られても同じことを繰り返す場合です。この場合、大人の指導力不足が原因です。子供自身が納得し、自分から「良い行動をしたい」と思うことが、躾の大きな目標です。そのために最も大事なことが子供への正しい伝え方です。正しい物事の捉え方・正しい考え方・正しい勉強法等、親として子供に教える上で大事なことが、内容よりも伝え方なのです。
人は理屈ではなく、感情で動く生き物です。正しいことを伝えたからといって、その通りに動くとは限りません。ですから、何を伝えるべきかという知識とともに、どう伝えれば子供の気持ちをうまく乗せられるかというテクニックも重要なのです。また、それをうまく実践できるようになるための技術や親のマインドセットも身につけて下さい。これらを習得した時、子供が何度も同じ失敗を繰り返すという悩みから解放されることでしょう。
私たちの脳には理性的な2階の脳と、感情的な1階の脳の二つのメカニズムがあります。理性的な2階の脳を育てることが、「ゲーム」より「宿題」を選べる子になるポイントなのです。
2階の脳を育てる方法は単純で、2階の脳を使わせるということです。身体を育てることを想像してみてください。子どもは、ただご飯を食べてよく眠るだけでも、日々成長していきます。骨格が大きくなり、筋肉もついていきます。しかし、それだけでなく運動をさせれば、筋肉の成長はより早くなります。脳の場合も同じです。ただ育つに任せるだけでも、子供の脳は自然と成長していきますが、正しく使わせることで脳の成長をより早めることができます。
では、どうすれば子供に2階の脳を使わせることができるのか。 それは、子供自身に話をさせることです。誰かの話を聞き流すのは、頭を使わなくてもできます。失敗して叱られ、苦痛な時間を耐えるために、話を聞いているフリをするだけです。長々とお説教をして「わかった?」と確認し、子供が「うん」と答える。よくある光景ですが、分かっていないからまた同じ失敗を繰り返すのです。こうしたお説教は、ほとんど効果がないのです。
これに対し、子供自身が話す場合、自分で頭を使って考えないと、話すことはできません。失敗したら、状況を整理して問題点を把握し、今後どうすべきかを考える。これらが子供にとっての脳トレになります。同時に、自分で考えたことだからこそ、結論に対して納得感が生まれるという心理的な効果も生まれ、行動改善に効果を発揮するのです。
子供の成長を促すためには、親が言って聞かせるのではなく子供に話をさせることが重要なのです。