教室ブログ

2024.06.22

教科書が読めない

教科書を読める子はクラスにたったの数人

学校の授業のベースになる教科書。各学年の子供の知識や理解力に合わせてつくられているから「読めるのは当たり前」と思ってしまいます。しかし、大半の子供が教科書を読めていません。小学生でいえば、内容を正確に読めているのはクラスの数人程です。『読む』ということからイメージするのは、ひらがな・カタカナ・基本的な漢字を“文字として読める”ことです。ですが、それだけでは読めたことにはなりません。文章を読んで正確に意味や内容を理解することができて初めて読めたといえます。子供たちはこの読解力が弱いのです。

 

計算問題は解けるが、文章題になると分からない

読解と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは国語です。国語の心情読解の場合、作者の思いを読み取るといった、読む力を養い、解釈に幅があります。ですが、算数、理科、社会では解釈に幅はありません。文章に書いてある事実を正確に読み取るだけです。教科書を読めていない子供が多い理由は、文章に書いてある事実を正確に読み取る読解力が身についていないのです。算数の計算問題は解けるのに、文章題になるとわからなくなる子供がよくいますが、それも同様です。解けないのではなく、問題文が理解できないのです。

 

算数の「割る数」と「割られる数」が分からない

読めない原因は語彙にあります。文中の言葉の95%以上を理解していないとすらすら読めないと言われますが、語彙不足は読解のネックになります。特に、算数や理科で使う言葉は日常で使う意味とは違う場合もあり、それを理解していないとたった1行の文章でもわからなくなってしまいます

『内閣のもとには、さまざまな府・省・ちょうなどが置かれ、仕事を分担ぶんたんして進めます』という行政の仕組みを説明した一文が出てきますが、『もとには』『置く』という言葉が子供には難しいのです。『足もと』『物を置く』といった普段使う意味とは違う言い回しだからです。算数なら『割る数』と『割られる数』のような言葉遣いも混乱しやすいですし、数や量の比に出てくる『○○を1とみたときに』の『みた』の意味がわかっていないこともよくあります」

読めない文章が並んだ教科書に子供が興味を持てないのは、当然のことですし、読めないことが勉強嫌いや特定教科への苦手意識にも繋がります。

教科書を読めているかどうかは、ノートの書き方を見ればすぐに分かります。自分の解答が解答例とちょっとでも違うと、書き直す・赤ペンで直していると要注意です。自分の解答と解答例のどこが違うかをわかっていないのです。

 

進路が限定される

読解力の有無は人生を左右します。

高校入学後、進路が私立大文系以外に選べないとなってしまう生徒の多さです。その背景にあるのが読解力です。数学や理科のように学年が上がるごとに新しい知識や概念が増えていく教科では、読解力がないことで勉強の遅れが生じます。その結果、理数は苦手だからと消去法で文系しか選べないことになってしまうのです。

読めないがために将来の選択肢を狭めてしまうのはもったいないことですが、それだけではなく社会に出てからも厳しい現実が待ち受けています。今後、事務職の50%がAI(人工知能)に代替されることが予想されます。つまり、文系の人が就く事務系の仕事は減り、賃金が安くなることが考えられます。一方、あらゆる分野がテクノロジーと関わることから、多くの仕事に理系の人材が求められるようになります。職を失わないためには、文系でも理系の基礎知識を併せ持っていなければなりません。実務面でもメールの意味を読み違えて発注ミスをするといったことが考えられます。リモートワークが普及し、メールをはじめ文章によるコミュニケーションは今後ますます増えることが予想されているため、読解力は不可欠です。

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