こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。
暖かくなり、新緑が気持ちよい季節ですね。
でも、気が付くとあちこちに巣が張られている蜘蛛の巣は、あまり気持ちのよいものではありません。
蜘蛛の巣は絹のように見えますが、実は鋼鉄や防弾チョッキに使われる繊維よりも強いと言われています。しかも強度だけでなく、虫を捕まえやすくするためのある秘密があるということをご存知でしょうか。
実は、蜘蛛の巣は帯電していて、プラスに帯電した昆虫が近づくと巣の方から近寄ってくるらしいんです。つまり、蜘蛛の巣は虫を捕まえるためにただ待っているだけではなく、静電気を利用して自ら昆虫を捕まえにいく網でもあるのです。
試しに下敷きをこすって帯電させ、蜘蛛の巣に近づけてみてください。蜘蛛の巣が下敷きに引き寄せられる様子を観察することができますよ!
蜘蛛が利用しているらしい静電気ですが、人間にとってはどうでしょう。静電気も、あまりよいイメージがないのではないでしょうか。
特に、静電気は冬にドアノブで痛い目にあう厄介な存在、というイメージがある人も多いかもしれません。でも実は近年、様々なところで利用されてきています。
代表的な例がコピー機です。
コピー機を開けると、大きな筒があります。これを感光体ドラムと言います。この表面には感光物質が塗ってあり、マイナスの静電気を帯電させる役割を持っています。
文書をガラス板の上にのせてコピーをスタートすると、原稿にレーザー光が当てられます。原稿の白い部分等から反射されたレーザー光が感光体ドラムに投影され、静電気が消えます。逆に原稿の黒い部分等は静電気が帯電している状態になります。そこにプラスの電気をもった黒い粉(トナー)をくっつけると、帯電している部分だけにくっつきます。最後に熱と圧力を加えてトナーを定着させることで、コピーが完成します。
カラーレーザープリンターも基本的な仕組みは同じです。
静電気は人工植毛にも巧みに利用されています。
植毛といっても髪の毛のことではなく、カーペットや人工芝など、ベースとなる台地に合成繊維などの材料を接着して植毛する技術です。
まずプラスとマイナスの電極板を向かい合わせに据え、プラス側に合成繊維などを置くと、合成繊維はプラスに帯電して、マイナス電極側に飛び込んでいきます。マイナス電極側には接着剤が塗られた台地が置かれているため、飛び込んだ合成繊維が接着し、どんどん植毛されるというしくみです。
カーペットや人工芝ばかりでなく、サンドペーパーの製造などにも利用されています。
これと同じ原理によるのが、工業製品や家電機器などの塗装に広く採用されている静電式の粉体塗装(パウダー・コーティング)です。
塗装したい製品をマイナス(またはプラス)に帯電させ、プラス(またはマイナス)に帯電させた粉末状の微細な塗料を霧化して付着させるといった方法です。
塗膜の厚みが一定で塗装品質が高く、仕上がりが美しいのが特長です。複雑な形状の製品でも裏側にまで回りこんでくまなく塗装できるとともに、床に落ちた粉末塗料は回収して再利用できます。また水や有機溶媒を使わないので、廃液による環境汚染やVOC(揮発性有機化合物)による大気汚染リスクもなく、近年は自動車ボディの塗装などにも採用されるようになっているようです。
静電気を利用したゴミの分別もあります。
静電選別と言われるもので、静電気を利用して対象物を帯電させ、帯電量と比重の違いにより選別・分離する方法です。たとえば食品の中に混入した異物(髪の毛や糸くず等)の除去や、ペットボトルの本体と包装ラベルの選別等に使用できます。
他に、火災時に発生する煙を減らす消煙装置、室内空気を浄化する集塵機などにも利用されているそうです。
あと、空き巣に入られたときに靴跡を探すといった科学捜査にも、静電気は使われているようです。
いやはや、厄介ものと思っていたら、静電気は今や様々なところで利用されていたんですね。
理科の授業でも、導入する話題としてのみ登場しがちな静電気ですが、「たかが静電気」と思わずに、むしろ静電気っておもしろい!と思えれば、苦手意識のもつ人の多い電気分野を乗り越えられるかもしれませんよ!?
【参考】