日本の学力低下の原因は? もはや「学校に期待できなくなった」背景
ここまでで、日本の学力低下はみられなという話を書いてきました。
しかし、これは平均点の話です。
つまり、全体を見た結果にすぎません。
OECD生徒の学習到達度調査2022年調査(PISA2022)のポイント
数学的リテラシーの結果を見てみると、習熟度に大きな差はありません。これは、国際水準からみても素晴らしいことです。
ですが、これは質問の回答をみると疑問がうまれます。
・生徒は、授業が始まってもなかなか勉強にとりかからない
まったく、又はほとんどない以外⇒22.5%
・先生は、生徒が静まるまで長い時間待たなければならない
まったく、又はほとんどない以外⇒24.7%
・授業中は騒がしくて、荒れている
まったく、又はほとんどない以外⇒31.4%
・生徒は、先生の言うことを聞いていない
まったく、又はほとんどない以外⇒41.0%
このアンケート結果をみて、何を感じますか?
私は、学級崩壊に近い状態ではないかとすら思ってしまいます。先生の統率が効かない状況だけではありません。
・生徒は、勉強があまりよくできない
まったく、又はほとんどない以外⇒50.8%
半数以上の生徒が勉強がよくできないと思われています。
なのに国際的には高水準という状況を見ると、そもそもの国際水準がおかしいのではないかという疑問すら芽生えます。
あるいは、日本が求める水準が高いのかもしれません。
続きの質問では、
・先生は、生徒の学習を助けてくれる
まったく、又はほとんどない以外⇒96.1%
・先生は、生徒がわかるまで何度でも教えてくれる
まったく、又はほとんどない以外⇒94.1%
授業の状況は厳しいけれども、先生の熱心な指導によって日本の水準が保たれていると考えられます。
こういった熱心な先生方の個別指導が、働き方改革で失われようとしているのではないでしょうか?
そもそも、このように積極的に先生と話に行ける子たちはどれほどいるでしょうか?
もっといえば、こういった子たちは勉強にも精力的で、学力も高いのではないでしょうか?
勉強に関心が薄い子が、先生に助けを求めに行けるでしょうか
何度でも聞こうと思えるでしょうか
前々日の記事の内容は、きっと間違ってはいないと思います。
このデーターを見るに、日本の学力は学校の先生方の献身的な指導に支えられてきました。
しかし、それが限界に差し掛かっています。
理解に差がある子たちを同じ教室に入れて、同じ授業をするだけでは、きっと、この高水準は保てなかったと思います。
そして、この仕組みは崩壊しようとしています。
子どもたちにふさわしい教育は、学校の許容範囲を超えているかもしれません。