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2023.09.30

PFAS(ピーファス)ってなに? (化学的な話)

こんにちは! 最近化学の勉強にはまっている個別指導Wam藤の木校です。

 

化学というと周期表や元素が付いて回るため、倦厭されがちですが、周期表を見ていくと語源が分かりやすいものも多く存在し、語源を学ぶことで周期表も覚えられるという一石二鳥な科目だと最近気が付きました!

そんな化学の話をしていきたいと思います。

皆さんPFASってご存知ですか。この手の文字列は読み方からわかりづらいですよね。PFASは「ピーファス」と読みます。

PFAS(ピーファス)は調理器具や衣類など幅広い用途に使われている化学物質です。

ですが一方では健康被害との関連が指摘され、いま国内で検出される事例が相次いでいるそうです。

今回はそのPFAS(ピーファス)って何なの?というお話となります。

 

PFAS(ピーファス)は「有機フッ素化合物」の総称です。

「有機フッ素化合物」とは周期表における9番目にあたる元素”フッ素”が化合した(別のものにくっついた)状態です。

(※豆知識ですがフッ素は弗素とも書くそうですよ。)

フッ素は特有の臭いのある淡黄褐色の気体ですが、反応性がきわめて高くてすぐ化合物を作ります。高校生では周期表の横軸にあたる「族」を学習しますが、フッ素の属する17族は元々電気的に不安定とされています。電子の数が半端なので電子を欲してすぐ他の物質とくっつきたがります。

したがって、くっついた後のフッ素化合物はすごく安定しているので、長期間変質しません。

身近なところでは歯磨き粉に使われていますが、これはPFAS(ピーファス)ではなく、危険でもありません(無機フッ素化合物)。

(※日常的に口にしている”塩”も元は塩化ナトリウムで塩素とナトリウムが化合しています。塩素はフッ素と同じ17族で、毒性が強いため実験では細心の注意を払って扱われますが、化合してお塩になってしまえば少し舐めるくらいなら何も問題ありません。)

「有機フッ素化合物」とは、有機物の中にフッ素が入ったものをいいます。正式名称は「ポリ(及びパー)フルオロアルキル化合物※」とやたら長いので、頭文字をとって“PFAS”となります。約 4,500 種類の合成化学品の総称です。

 

  • ポリ(及びパー)フルオロアルキル化合物 poly- and perfluoroalkyl substances

ポリ=重合

フルオロ=フッ素の化合物(フッ化物)

アルキル=1価の炭化水素基の総称(メチル基やエチル基など)

パーフルオロカーボン=炭化水素の水素原子を全てフッ素原子で置き換えたもの

これらはおよそ高校化学で習います(PFASは習いませんが)

 

フッ素と炭素がくっついた有機フッ素化合物には、ものをはじく性質があります。身近なものではフライパンなどのフッ素コートやファストフードの包み紙、化粧品など、水や油や汗などを弾くものとして非常に役立ち、生活に欠かせないものになっています。

ただ有機フッ素化合物は自然界にはほとんどなく、人工的に造られます。ということは、自然界で分解されないということです。そのため「永遠の化学物質」と呼ばれることもあります。

そうしたPFAS(ピーファス)も全てが問題なわけではありません。PFAS(ピーファス)の中でも生物の身体の中に溜まりやすいものがあり、それがPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の二種類で、この二つが問題となっているのです。

 

PFOS/PFOAは水にも溶けやすいという性質があるため、地下水に入っていき、その一部が飲用水に使われます。もちろん、野外の水を水道に通すときには消毒などもされてはいるのですが、PFOS/PFOAの多くはすり抜けてしまいます。だから水道を通って飲用水として飲むことになり、結果的に体内に蓄積されていってしまいます。

PFOS/PFOAに汚染されているであろう地域で調査をしてみると、それらが体内に溜まった人は脂質異常症や甲状腺疾患などになる可能性があると指摘されているそうです。

アメリカでは1990年代から問題になっていましたが、日本では全く話題にならず、最近になって国内各地で国の目標値を超える値が相次いで検出され、ようやく問題になってきました。

 

PFAS(ピーファス)のようにいつまでももとのままである物質は、私たちの生活の上で便利だし、それがかつて高度成長を支え豊かになったことは紛れもない事実です。研究を重ね発見した化学者たちは、無名ながらも賞賛されるべきでしょう。

でも便利な製品の生産が1970年代公害問題を招きました。四大公害病のひとつイタイイタイ病は、ここ富山で起きました。

国や企業による規制で、工場からの排出こそ問題にならない範囲に収まりましたが、市場に出た製品は問題になりにくく、最近の製品は「人体には問題なし、次は環境への影響に配慮すべき」としてマイクロプラスチックなどが問題となっていました。

ところがPFAS(ピーファス)は人体に影響ある物質として問題視されています。どこか時代に逆行し、呪いのように今に湧いて出たような問題といえるでしょう。これから私たちは、便利な生活を満喫するだけでなく、「過去の負の遺産」というべき問題にも取り組んでいかなくてはいけません。

 

「永遠の化学物質」と言われるPFAS(ピーファス)は、安心して使える便利な物質だったのですが、これからは自然に戻る物質を使いたいものですね。化学者の研究対象も、また変わってきているかもしれません。

 

※あくまで本記事はブログとして時事的に物事を調べ投稿しております。そのため、仮説などを含む場合があります。

また、投稿者・草稿考案者の私見を含む場合があります。

 

【参考】

“有害”化学物質PFAS 各地で波紋広がる(NHK Web特集)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221124/k10013899691000.html

化学物質“PFAS” 広がりと影響は?(NHK 耳よりくらし解説)

米国における PFAS 規制の概要と日本企業への影響

https://japanese.pillsburylaw.com/siteFiles/33774/Legal%20Wire%20951.pdf

フッ素とフッ化物の基礎知識

http://miyachiyokatoclinic.alcoholdrug.yuzu.bz/flu-basic-01.html

 

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