教室ブログ

2023.04.28

動物の愛の告白

こんにちは、個別指導WAM藤の木校です。

 

4月は出会い、別れの季節ということで恋人が出来たり、友人関係が一気に大きくなっていく、そんな時期かと思います。

今回は人間ではなく、動物の愛の告白のお話です。動物の恋愛はどういったものなのでしょうか。

 

まず、クジャクのオスは、繫殖期になるとメスのクジャクの前で美しく大きな飾り羽を広げ、振動させます。

これが交配相手を獲得するための求愛行動です。

求愛行動は鳥に限ったことではありません。イトヨという魚は繫殖期になると水草などを集めて巣を作り、メスを見つけると「ジグザグダンス」と呼ばれる求愛行動を行ってメスを巣に誘い込むそうです。

マウスのオスはなんと「歌う」ことでメスを誘惑します。オスのマウスはヒトには聞こえない周波数の声を出しており、その中には求愛のときに出す特徴的な声があることが明らかになっているとか。しかも、求愛の歌を上手く歌えるオスとそうでないオスに対するメスの態度にはかなりの差があるらしいのです。マウスのオスもメスに気に入られるために苦労しているんですね。

 

こうした動物の例をみると、求愛行動はオスのみに見られる行動のようです。バレンタインがいかに特別な日なのかがわかりますね。(筆者は本年のバレンタインは一つもチョコをもらえませんでした。)

ではオスは、愛の告白の結果メスを独占できるかというと、そうとは言えません。

 

例えばニホンカワトンボは、オスが橙色の翅(はね)をもつのに対し、メスは透明の翅を持っています。ところが透明の翅を持つオスがいるのです。つまりメス擬態型のオスです。ニホンカワトンボのオスは縄張りを持っており、他のオスが縄張りに入ってくると追い出しにかかります。ところがメス擬態型のオスは縄張りを持つオスから追い出されません。そしてオスの目を盗んで交尾に成功し、しっかりと自分の子孫を残すのだそうです。

しかもトンボには逆のタイプの擬態、つまりオス擬態型のメスの存在も知られています。例えばアカトンボのメスの中にはオスのように赤くなった個体がいます。交尾後のメスは池や沼などに産卵しますが、このときにオスが交尾しようとメスに近づくことで、メスの産卵行動を妨害することがあります。オス擬態型メスは、そうしたオスの行動を受けにくくする効果があるため、効率のよい産卵行動が可能になるようです。

トンボの例をあげましたが、他にも雌雄が判別しづらい生物はたくさん存在します。普通のオスに加え、メス擬態型オス、オス擬態型メス、普通のメスまで広く存在しています。

 

最後にヒトはどうでしょうか。

いまヒトの脳の性は2つの観点から議論されます。ひとつは自身の性をどのように認識しているかという「性自認」の観点、もうひとつはどちらの性を恋愛対象としているかという「性指向」の観点です。

いわゆるLGBTQのLGBは、「性指向」の観点での少数者、つまり同性か両方を恋愛対象としている人のことですが、オスかメスかどちらかに割り切れないのは他の動物と同じですね。

 

ところで、求愛行動はオスがメスにして終了、とはなりません。

クジャクは求愛行動がメスに受け入れられると、メスはオスのダンスに反応したり、オスの持ってきた餌を啄んだりして初めて、つがいが成立するのです。

イトヨはメスが巣に入って放卵し、オスもすぐに放精することで受精が成立しますし、マウスのオスもメスにマウントした際、メスは背中を反らすような「ロードーシス」という行動をとることにより成立します。

このように、オスの求愛行動に対してメスが反応することが重要なのです。

また、めでたく成立しても長続きするよう、お互いの立場を尊重して努力しましょう。GOOD LUCK!

 

【参考・引用】

諸橋憲一郎「オスとは何で、メスとは何か? 「性スペクトラム」という最前線」NHK出版新書

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