【2014-1】
藤山直樹「落語の国の精神分析」
<感想>
東大受験生としては標準レベル、
40分程度で仕上げたい。
「落語家と精神分析家の共通点」、
それは
「互いに分裂を孕みながらも
なんとかひとりの人間としての
統合を保っている」、
それがそれぞれ観客と患者に、
「生きる希望」を与えているそうな。
流石に本年度がホネがなさ過ぎたか、
翌年度の問一は一気に難しくなる。
<(一) 内容説明 やや易>
ポイント:
落語家と分析家の共通の孤独とは
落語家と分析家は共通して、
常に客に成果を期待されつつ、
離反される恐怖に怯えつつ、
たったひとりで
彼らと対峙しなければならない、
強烈に孤独な存在であるということ。
<(二) 内容説明 標準>
ポイント:
「落語家の分裂」のより詳しい説明
落語とは
直接話法のひとり芝居の話芸であり、
落語家はネタの中で、
複数の他者に自己を同一化させ、
それを維持しているということ。
<(三) 内容説明 標準>
ポイント:
錯覚=虚構=実は違うんだよ
「私」とは実は本来的に
分裂している存在であるのに、
自己の中の複数の自己との
対話を通じ、たったひとりの
統合された「私」がいるかのように
思い込んでしまうということ。
<(四) 内容説明 標準>
ポイント:
分析家と落語家の共通の分裂とは
分析家も、
診察に於いて
患者を理解するために
患者の一部になるという点で、
落語家同様、その仕事の根底に
分裂の契機を孕んでいるということ。
<(五) 本文要旨 やや難>
ポイント:
分析家と落語家の共通の希望とは
落語家が複数の他者を演じ
分裂をきたしながらも、
ひとりの人間として生きていることで
観客に希望を与えるように、
分析家も患者の一部になることで
分裂をきたしながらも、
分裂を経て自分を新視座から
見つめられる生きた人間として、
患者に希望を与えるから。
【2014ー2】
蜂飼耳「馬の歯」
<感想>
2014-2023の過去10年で、
最狂・最凶なのが本問。
(三)も(四)も
「問う行為」がテーマだが、
(三)ではそのネガティブな側面を、
(四)ではそのポジティブな側面を、
それぞれ書き分ける必要あり(多分)。
「馬の歯」やら「松ぼっくり」やら、
「ぶたが一匹」やら「消えろ虹」やら、
筆者の詩的想像力が爆発する地獄絵図。
「疑問形(想像力)の大切さ」
がテーマの文章(多分)。
<(一) 内容説明 難>
ポイント:
ずぶり=衝撃・意外・非日常
初対面の人と向き合い、
お互いを知ろうとする時間は、
日常ではあまり味わえない
新たな発見や驚きをもたらす、
ある意味で非日常な
一場面であるということ。
<(二) 内容説明 標準>
ポイント:
松ぼっくり=衝撃・意外・非日常
本もいつもと違う視点から読めば
思わぬ言葉に出会えるように、
植物園でも台風の後に歩けば
松ぼっくりが拾えるような、
思わぬ発見があるということ。
<(三) 内容説明 難>
ポイント:
その=問い、消えていく=刹那
曖昧な物事に形を与えようと
一歩踏み出して問うて見ても、
その「問う行為」自体も、
すぐに曖昧なまま
消えて行ってしまうということ。
<(四) 内容説明 難>
ポイント:
問い=もっと遠くへ届く光
日常に於いて、
不確かな物事に形を与える
「問う行為」を粘り強く続け、
それを新しい発見へと繋げ、
人生をみずみずしく
彩っている人もいるということ。