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2023.03.13

【東大現代文10年分講評ー10】2014年度

【2014-1】

藤山直樹「落語の国の精神分析」

 

 

<感想>

 

東大受験生としては標準レベル、

40分程度で仕上げたい。

 

「落語家と精神分析家の共通点」、

それは

「互いに分裂を孕みながらも

なんとかひとりの人間としての

統合を保っている」、

それがそれぞれ観客と患者に、

「生きる希望」を与えているそうな。

 

流石に本年度がホネがなさ過ぎたか、

翌年度の問一は一気に難しくなる。

 

 

<(一) 内容説明 やや易>

ポイント:

落語家と分析家の共通の孤独とは

 

落語家と分析家は共通して、

常に客に成果を期待されつつ、

離反される恐怖に怯えつつ、

たったひとりで

彼らと対峙しなければならない、

強烈に孤独な存在であるということ。

 

 

<(二) 内容説明 標準>

ポイント:

「落語家の分裂」のより詳しい説明

 

落語とは

直接話法のひとり芝居の話芸であり、

落語家はネタの中で、

複数の他者に自己を同一化させ、

それを維持しているということ。

 

 

<(三) 内容説明 標準>

ポイント:

錯覚=虚構=実は違うんだよ

 

「私」とは実は本来的に

分裂している存在であるのに、

自己の中の複数の自己との

対話を通じ、たったひとりの

統合された「私」がいるかのように

思い込んでしまうということ。

 

 

<(四) 内容説明 標準>

ポイント:

分析家と落語家の共通の分裂とは

 

分析家も、

診察に於いて

患者を理解するために

患者の一部になるという点で、

落語家同様、その仕事の根底に

分裂の契機を孕んでいるということ。

 

 

<(五) 本文要旨 やや難>

ポイント:

分析家と落語家の共通の希望とは

 

落語家が複数の他者を演じ

分裂をきたしながらも、

ひとりの人間として生きていることで

観客に希望を与えるように、

分析家も患者の一部になることで

分裂をきたしながらも、

分裂を経て自分を新視座から

見つめられる生きた人間として、

患者に希望を与えるから。

 

 

 

【2014ー2】

蜂飼耳「馬の歯」

 

 

<感想>

 

2014-2023の過去10年で、

最狂・最凶なのが本問。

 

(三)も(四)も

「問う行為」がテーマだが、

(三)ではそのネガティブな側面を、

(四)ではそのポジティブな側面を、

それぞれ書き分ける必要あり(多分)。

 

「馬の歯」やら「松ぼっくり」やら、

「ぶたが一匹」やら「消えろ虹」やら、

筆者の詩的想像力が爆発する地獄絵図。

「疑問形(想像力)の大切さ」

がテーマの文章(多分)。

 

 

<(一) 内容説明 難>

ポイント:

ずぶり=衝撃・意外・非日常

 

初対面の人と向き合い、

お互いを知ろうとする時間は、

日常ではあまり味わえない

新たな発見や驚きをもたらす、

ある意味で非日常な

一場面であるということ。

 

 

<(二) 内容説明 標準>

ポイント:

松ぼっくり=衝撃・意外・非日常

 

本もいつもと違う視点から読めば

思わぬ言葉に出会えるように、

植物園でも台風の後に歩けば

松ぼっくりが拾えるような、

思わぬ発見があるということ。

 

 

<(三) 内容説明 難>

ポイント:

その=問い、消えていく=刹那

 

曖昧な物事に形を与えようと

一歩踏み出して問うて見ても、

その「問う行為」自体も、

すぐに曖昧なまま

消えて行ってしまうということ。

 

 

<(四) 内容説明 難>

ポイント:

問い=もっと遠くへ届く光

 

日常に於いて、

不確かな物事に形を与える

「問う行為」を粘り強く続け、

それを新しい発見へと繋げ、

人生をみずみずしく

彩っている人もいるということ。

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