【2015-1】
池上哲司「傍らにあること」
<感想>
2014ー2023の10年間で、
2014の問二、2016の問二、
と並ぶ難問。
一読しただけで理解できる受験生は、
東大受験生レベルでも1/3程度では。
「自分を判断するのは他者、
しかし決定するのはあくまで自分」、
「死してなお後世に影響を
与えるような自己たるべく、
他者評価からの自由・逸脱を志向し
燃えて生きろ」という文章。
<(一) 理由説明 やや難>
ポイント:
不変の自己なんてそもそもいない
あるのは
「現在」に主成している自分のみで、
過去と現在を貫く
「不変・同一の自分」
などはそもそも存在しないから。
<(二) 理由説明 標準>
ポイント:
自分を判断するのは他者
過去を統合・回収する過程を通じ
生成される「自分らしさ」とは、
自分によってではなく、
他者によって
認められるものだから。
<(三) 内容説明 難>
ポイント:
他者が判断した自分らしさはすでに過去
「生成する働き・可能性」としての
「現在」の自分とは異なり、
他者により判断され認められる
「自分らしさ」は、すでに
「過去」のものであるということ。
<(四) 内容説明 やや難>
ポイント:
足跡の中にも働きはある
虚への志向性を追求した
濃密な人生を送った者は、
死してもなお、その足跡の中に
働き(その人生のダイナミズム)
が宿り、残された人はそれを
濃厚に感じられるということ。
<(五) 全体要旨 難>
ポイント:
<感想>参照
「自分らしさ」とは、
他者により判断されるが、
他者により決定されるものではなく、
現実化するのはあくまで自分だ。
他者の自身に対するイメージからの
自由・逸脱を志向する人生は、
死してもなお後世に、
その人生のダイナミズムを
追体験させることが出来る。
【2015ー2】
藤原新也
「ある風来猫の短い生涯について」
<感想>
前年度の地獄からずっと易しくなった。
しかし翌年度また難しくなる(苦笑)。
<(一) 内容説明 標準>
ポイント:
悠久=果てしなく続く
多産猫とその子猫たちの
子離れ・親離れの様子に、
人間の甘いそれにはない、
脈々と続く
厳しい野生の掟や本能を見出し、
筆者は感銘を受けたということ。
<(二) 内容説明 標準>
ポイント:
野生に介入してしまった
寿命を迎えていたであろう猫を、
ふとした罪悪感から助けてしまい、
猫が息を吹き返したのは、
結果として「野生の掟」を破る、
行き過ぎた介入であったということ。
<(三) 内容説明 標準>
ポイント:
2つの「それ」をしっかり説明する
私が猫を引き取ったのは、
無償の愛によるものではなく、
猫の病気が私にもたらした
「慈悲心」という
一種のエゴイズム
からであったということ。
<(四) 内容説明 標準>
ポイント:
面倒がかかる子ほど可愛い逆説
病気で悪臭を放つ厄介者の猫の死は、
一種の解放をもたらすはずなのに、
その欠陥があるからこそ、
むしろ私に哀惜の念を感じさせたが、
それは予想外の心情だったということ。