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  6. 【東大現代文10年分講評ー6】2018年度

2023.03.09

【東大現代文10年分講評ー6】2018年度

【2018ー1】

野家啓一「歴史を哲学する」

 

 

<感想>

 

やや難。40分。

 

歴史

=直接観察・知覚不可

=「理論的存在(」理論的構成体)

=「理論的探求」が必要

=発掘・資料批判・年代測定など

=その実在を確証するためには

「物語のネットワーク」が必要

=歴史は「物語り行為」。

 

例年のような、

現代社会の最先端の問題を

論じる文章でなかったが、

東大現代文にたがわぬ、

素晴らしい文章であったことは

相変わらず。

 

 

<(一) 内容説明 やや難>

ポイント:

素粒子の証明の背景に物理学理論

 

素粒子の痕跡が、

直接知覚出来ない素粒子の存在を

証明しうる背景には、

それに間接的な証拠を与えている、

現代の物理学理論の存在が

不可分にあるということ。

 

 

<(二) 内容説明 やや難>

ポイント:

知覚できなくてもれっきとした実在

 

ある対象が見聞臭触によって

直接的に観察出来ない

理論的存在であるとしても、

それは確かに実在するのであり、

観念的創造物であるわけでは

決してないということ。

 

 

<(三) 内容説明 やや難>

ポイント:

フランス革命は物語り的存在

 

歴史的事件は、

「もの」(具体的事物)ではなく

「こと」(抽象的概念)であり、

知覚的な観察が不可能であるため、

理論的探求手続きが必要な

理論的存在であるということ。

 

 

<(四) 理由説明 やや難>

ポイント:

<感想>参照

 

「歴史的出来事」の存在は、

直接的・知覚的な観察が不可能な

「理論的存在」であるため、

その実在を確証させるためには、

史料批判・年代測定・発掘などの

「理論的探求手続き」としての、

「物語り行為のネットワーク」

が必要とされるから。

 

 

 

【2018ー2】

串田孫一「緑の色鉛筆」

 

 

<感想>

 

難。30分。

いかにも東大文系現代文、

いかにも東大第二問。

 

世の中は、第一問のように、

なんでもかんでも

「論理」「理性」「合理」だけで

覆いつくせるものばかりではない、

世界は不条理に満ちている。

 

テーマは

「子供の残酷さに潜む成長」、

「子供と動物の沈黙の会話の重要さ」。

 

 

<(一) 内容説明 やや難>

ポイント:

親の介入は子供の成長に時に逆効果

 

親がお節介を焼かなくても、

子供はおのずから動物の生活に

触れる機会があり得るし、

親が介入することはかえって、

子供と動物の特殊な対話の

邪魔になり得るから。

 

 

<(二) 内容説明 やや難>

ポイント:

親の理想論の押しつけ

 

大人が創った動物物語は、

親の理想やエゴを

都合よく子供に押し付ける、

子供の成長にとっては

かなり用心が必要な、

紋切型の寓話と堕している

可能性があるということ。

 

 

<(三) 理由説明 やや難>

ポイント:

嘲う=バカにする・失笑する

 

蚤を飼い食事を与える少年は、

蚤を愛でる気持ちからどころか、

蚤を実験対象として見る

気持ちからそうしており、

それは動物の愛護精神とは

むしろほど遠いものだから。

 

 

<(四) 内容説明 やや難>

ポイント:

子供と動物の沈黙の貴重な会話

 

大人の真似事ではない、

大人は誰も理解できない、

沈黙のうちに行われる、

時に残酷さも含む、

しかしそれでいて、

子供の成長にとって

かけがえのない契機となるもの。

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