【2019-1】
中屋敷均「科学と非科学のはざまで」
<感想>
標準レベル。35分程度で仕上げたい。
論旨は非常に明快。
仏教の「中道」や、
アリストテレスの「中庸」にも繋がる。
世界は白か黒かではない。
秩序と無秩序のはざま、
科学と非科学のはざまの、
「グレーゾーン」にこそ、
人間の叡智も幸福も宿る。
<(一) 内容説明 標準>
ポイント:
世界は無秩序なのに生物は有秩序
エントロピー増大の法則(無秩序)
が支配する自然界に於いて、
有機物である生物が、
秩序ある「形あるもの」として
存在することは、
極めて特殊なことであるということ。
<(二) 内容説明 標準>
ポイント:
秩序と無秩序の往還
生命の営みとは、
偶発的な要素に反応し
複雑化しながら、
自己複製と変異、
秩序と無秩序を往還する、
極めて特殊で
多様性に富んだもので
あるということ。
<(三) 内容説明 標準>
ポイント:
福音=喜ばしい知らせ
科学が進歩し、
新たな秩序やシステムが
次々と構築されていく中で、
人々が不安や混乱から解放され、
人類全体の幸福度が高まることは、
喜ばしいことであるということ。
<(四) 内容説明 やや難>
ポイント:
「カオスの縁」にある豊饒な可能性
科学がその役割を終え、
全てが完璧な秩序で貫かれた世界は、
ユートピアでは決してない。
秩序と無秩序、科学と非科学の
はざまである「カオスの縁」こそ、
人間の知性や決断に意味が生まれる、
多様性と可能性に満ちた
世界であるということ。
【2019ー2】
是枝裕和「ヌガー」
<感想>
例年より特に短い。
例年より易しい。
力がある受験生なら20分程度で
仕上げることが出来るだろう。
「少年から大人へ、
その通過儀礼としての迷い子経験」、
素晴らしい文章、
流石東大、流石名映画監督。
<(一) 内容説明 標準>
ポイント:
僕の不安と周囲の無関心のコントラスト
僕は迷い子になってただでさえ
不安と恐怖の只中にいるのに、
周囲の乗客たちは
僕に何の関心も示さず
何の助けにもならず、
僕の不安と恐怖はますます
大きくなったということ。
<(二) 理由説明 標準>
ポイント:
菓子の甘さ⇒母の甘さ
駅員からもらった菓子をほおばり、
今度はそれを
母に買ってもらおうと思い、
大好きな母を思い出し近くに感じ、
恐怖と孤独が少し和らぎ
安堵したから。
<(三) 内容説明 標準>
ポイント:
邂逅=めぐりあい
母の庇護の中に抱かれていた少年が
そこから引き離され、
自分を知らない、自分に無関心な
残酷な「世界」と
予告なく直面させられ、
その孤独に恐怖するということ。
<(四) 理由説明 やや難>
ポイント:
母の喪失と孤独、少年から大人へ
大人になってしまった自分の元には、
かつて無条件に自分を庇護してくれた
絶対的な母の存在はもうなく、
これからはその孤独と
独りで向き合わねばならないことを
悟るから。