【2020ー1】
小坂井敏晶「神の亡霊」
<感想>
一般受験生レベルだと難。
東大受験生レベルだと標準。
35~40分程度で仕上げたい。
テーマはよく耳にする「自己責任論」。
筆者の論理展開も明快。
そして筆者と東大の主張はもちろん
「さよなら自己責任」。
<(一) 理由説明 やや難>
ポイント:
米国では格差の責任は社会でなく個人
機会均等・自由競争の米国社会では、
弱肉強食のルールが正当化され、
格差の責任は
社会でなく個人に帰せられるため、
平等を追求する動きは育ちにくいから。
<(二) 理由説明 標準>
ポイント:
聖域たる個人はありえず自己責任もない
自己責任論者は、
個人の行為の根拠を
才能や人格という「内部」に求めるが、
それらは偶然も含む
「外部」の産物に過ぎず、
全ての行為責任を
個人に帰すことは出来ないから。
<(三) 内容説明 やや難>
ポイント:
機会均等の仮面を被った能力主義の欺瞞
「能力主義」が「機会均等」を建前に
その真の姿を隠し、
被支配者をその合意の上で支配し、
かえって既存の階級構造を
固定化してしまうという矛盾のこと。
<四 全体要旨 難>
ポイント:
自由・平等は格差正当化のための煙幕
平等が異常であった封建時代と異なり、
近代は「自由」「平等」を理想とした。
しかしそれらは建前で、
「格差(不自由・不平等)」は
必要悪として厳然と存在する。
社会は格差を正当化するためにこそ、
「能力主義」「自己責任」を
人々に喧伝するのだということ。
【2020ー2】
谷川俊太郎「詩を考える」
<感想>
やや難。(三)は難。
30~35分程度で仕上げたい。
作品を作るとき、
作者は同じ言語を話す
多くの同胞の他者と繋がっている、
という、
流石谷川俊太郎、流石東大の
素晴らしい文章。
<(一) 理由説明 標準>
ポイント:
作品を創る時、私は無名
作品を創る時、
私は日本語を話す民族の総体を
自己に取り込み、
超越者に向かって開かれている
媒介者であって、
無名であることが許されるから。
<(二) 内容説明 標準>
ポイント:
創作時の言語共同体との根源的な繋がり
作品を創るとき、
私と私のオリジナリティは、
日本語という
言語共同体に根差しており、
私はそこから
多くのインスピレーションを
受けているということ。
<(三) 内容説明 難>
ポイント:
作品は作者と不可分なものとして成立
作者は創作者であると同時に、
特定の時代・社会の一員である
俗人・読者でもあるので、
作品は作者と不可分なものとして
成立するのだということ。
<(四) 理由説明 やや難>
ポイント:
文章は意図的に他者と繋がる必要性あり
作品を書くときは、
作者は根源的に他者と繋がるが、
文章を書くときは、
意図的に他者と繋がる必要が生じる為、
私の独創性は
脆弱にならざるを得ないから。