教室ブログ

  1. トップ
  2. 個別指導WAM ブログ
  3. 東京教室
  4. 新宿区
  5. 四谷三丁目駅前校のスタッフブログ
  6. 【東大現代文10年分講評ー2】2022年度

2023.03.05

【東大現代文10年分講評ー2】2022年度

【2022-1】

鵜飼哲「ナショナリズム、

その<彼方>への隘路」

 

 

<感想>

 

またも素晴らしい文章。

東大は常に

受験生の固定観念を揺さぶってくる。

今回は「ナショナリズムは幻想」。

難易度としては、

取り組み易かった前年度(2021)

よりさらにやや易化した印象。

力ある受験生なら、

30分程度で仕上げられるだろう。

 

東大受験生は、

論理のルール(同値・対比・因果)を

身に着けるのは同然ながら、

「ことばはチカラだ!」(河合)

などで語彙力を、

「読むだけ小論文」(学研)

などで現代社会の広く浅くの論点を、

押さえておくことは必須だろう。

そして自分を凡人だと思うなら、

「入試現代文へのアクセス」(河合)

などで、受験までに最低でも

100文章は読解演習を重ねたい。

「質量転化の法則」だ。

 

 

<(一) 内容説明 標準>

ポイント:

日本人の国内外での典型的心性

 

日本人は

国内では互いに分断されていても、

いざ国外に出れば

一致団結するはずだ、

という作者の甘い考えこそが、

まさに日本人のメンタリティの

典型だということ。

 

 

<(二) 内容説明 標準>

ポイント:

日本に再び吹き荒れる分断と国家主義

 

ナショナリズムは、

国内外に敵を作り、

人々を排除・切断・除去するが、

日本は現在、

急速に分断が進んでおり、

再びそのナショナリズムが

猛威を振るいつつあるということ。

 

 

<(三) 内容説明 標準>

ポイント:

宇宙から地球を見たら国境線なんてない

 

ありのままの自然としての地球には

国境線や国名などなく、

それらはあくまで

人為的・恣意的に仮構されたものに

過ぎないということ。

 

 

<(四) 全体要旨 標準>

ポイント;

ナショナリズムも日本人としての

アイデンティティも自明ではない

 

ナショナリズムが主張する

「生まれ」の「同一性」の

「自然的性格」は仮構だ。

そしてその「自然化」は、

「人為的」な操作を伴うため、

常に逆流(非自然化)が起こり得る。

つまり日本人という

アイデンティティの自明性さえ、

常に脅かされうるということ。

 

 

 

 

【2022-2】

武満徹「影絵の鏡」

 

<感想>

 

「人間はどこに行きつくのか」、

「人間は絶えず宇宙に抱かれている」。

第一問は現代社会の最先端と論理、

第四問は普遍的な人間存在の不思議。

東大現代文のテーマは

毎年本当に素晴らしい。

現代の諸問題を考察したければ、

人間存在を探求したければ、

東大の現代文を読んで考えよう。

 

全体的には前年比同様、やや難。

しかし25分程度で仕上げたい。

 

 

<(一) 内容説明 やや難>

ポイント:

意識を超えた意識を感じ思考停止に

 

巨大な火口を見た私の意識は、

意識それ自体を

超えた大いなるものに囚われ、

私の一切の思考は働くことを

拒まれてしまったから。

 

 

<(二) 内容説明 難>

ポイント:

「ちょっと振動をあたえただけ」

 

ケージの「バカラシイ」という言葉は、

私たちに考えの否定や変更を

迫るものではなく、

私たちの思考を再確認させ、

私たちの気持ちをほぐしてくれる

ものであったということ。

 

 

<(三) 内容説明 標準>

ポイント:

未知の領域を自身の音楽理論へ取り込む

 

フランスの音楽家たちは、

自分たちにとって未知の領域である

ガムランの演奏に感銘を受け、

自身の音楽表現理論へ熱心に

取り込もうとしたということ。

 

 

<(四) 内容説明 やや難>

ポイント:

老人はバカらしいがバカらしくない

 

何も映らない老人の影絵は

一見バカラシイが、

私は巨大な火口を見た時と同様、

意識の彼方からやってくる

「言い知れぬ力」

(=宇宙からのメッセージ)を

感じたということ。

この記事をシェア

教室検索

  • 郵便番号で探す
  • 市区町村名・教室名で探す

\入力はカンタン30秒

フリーダイヤル® 0120-20-7733 受付時間:10:00~22:00(年中無休)