【2021年 小説】
【加能作次郎『羽織と時計』】
【全体講評】
標準。20分。
共通テスト初年度。
事前の施行調査で初登場した
ナゾの「実用文」
が出なくてホッとした。
あくまで共通テストは
アカデミックな内容で
あり続けて欲しい。
良い意味で「浮世離れ」
をし続けて欲しい。
新傾向の問6以外は容易。
前年度同様、
20分弱で満点を狙えた。
【本文要旨】
友人からもらった
「羽織と時計」が高価なもの過ぎて、
逆に「恩恵的債務」を感じてしまい、
精神的圧迫になってしまった、
という落語、あるいは漢文みたいな話。
【設問解説】
<1> 語句の意味。やや易。
アは②、イは②、ウは①。
例年のような
紛らわしい選択肢が姿を消し、
明らかに易しくなった。
<2> 心情説明。やや易。
「くすぐられるような」
=「むずむず、こそばゆい」
=「妻に褒められてうれしい」
+「W君のことを妻に内緒にしている
後ろめたさ」。
①は「笑い出したい」が言い過ぎで×。
これだと妻をバカにしている
ことになってしまう。
②は「不安に」が×。
不安なら別にこそばゆくはない。
③が正解。
④は「物足りない」が×。
②同様、物足りないなら
別にこそばゆくはない。
⑤は「妻への不満」が×。
特に苦労なく③を選べたハズ。
<3> 心情説明。やや易。
①が正解。
②は「必要を感じていなかった」が×。
③は「味をしめ」がギャグで×。
「批判が自分にも向けられた」が×。
④は「情けなく」が×。
「哀れみ」も×。
⑤は「厚意には見返りを期待する底意」
が同じくギャグで×。
前問同様、
特に迷うことなく正解を選べたハズ。
<4> 心情説明。やや易。
①が正解。
②は「経済的に助けられない」が×。
③は「偽善的な態度」が×。
④は「卑屈にへりくだらねば」が×。
⑤は「立派な人間と評価してくれた」
が×。
この設問も難しくない。
<5> 行動説明。やや易。
①は「自分たち家族の暮らしが好転」
が×。
②は「去勢を張る」が×。
③は「家族を犠牲にしてまで」が×。
④は「こじれてしまった」が×。
こじれるも何も、会えていない。
⑤が正解。
この設問もクリアできるハズ。
<6(i)> 比較問題。標準。
新傾向。
2つの素材を比べる問題。
ちなみに僕は、本文よりも
こちらの批評を先に読みました。
この批評の主旨は
「今作は作者のいつもの作品と異なり、
『ありのままの描写』
が足りず、『小話』臭さがある」
ということ。
積極法でズバリ④が正解。
<6(ⅱ)> ノート問題。やや難。
新傾向。
やや設問の意図の解釈が難しい。
シンプルに今度は、
批評文ではなく本文に根拠を求める。
①は「W君を信頼出来なくなっていく
私」が×。
②は「複雑な人間関係に耐えられず
生活の破綻を招いたW君」が×。
③は「私に必死で応えようとする
W君の純粋さ」が×。
正解は④。