【2020年 評論文】
【河野哲也『境界の現象学』】
【全体講評】
標準。25分。
最後のセンター試験。
前年度より易化。
文字数も、
減少した前年度よりさらに減少した。
設問も、
問4以外は特に問題ないのでは。
力がある受験生なら、
20分程度で満点が狙える年だった。
「環境の変化に適応する能力を」
という題材は、
来年度からまさに
「環境の変化」を経験する
高校生たちにとって、
センター試験最終年にとって、
ふさわしい題材だった。
【本文要旨】
「レジリエンス」という概念は、
「環境の変化に適応する能力」
と定義される。
もともと物性科学の概念だったが、
その後さまざまな分野でも応用された。
レジリエンスは「頑健さ」を持ち、
「脆弱性」とは対極だが、
その「回復力の不十分さ」
を意味する「脆弱性」こそが、
「環境の不規則な変化や悪化」
への「センサー」として働くため、
レジリエンスにとっては逆に
重要な意味を持つ。
福祉とは、
「人間的な生活を送る上で、
その人が必要なニーズを、
自身で能動的に満たすこと」である。
すなわち支援者に必要なことは、
「一方的な援助」ではなく、
「被支援者がレジリエンスを
持てるよう支援すること」だ。
ゆえに福祉の分野でも、
レジリエンスは採り入れられている。
【設問解説】
<1> 漢字。標準。
アが⑤、イが①、ウが①、
エが④、オが⑤。
「小康」「頑健」がやや難。
<2> 内容説明。標準。
①は「基準が存在しない」が×。
②が正解。
③は「自己更新し続ける」が×。
④は自然に限定し過ぎで×。
⑤は「自体を目的とする」が×。
<3> 内容説明。標準。
①は「どれだけ依存しているかを測る
尺度」が×。
②は「環境に対する抵抗力の弱い人々を
支援」が×。
③が正解。
④は「均衡状態へと戻るため」が×。
⑤は「人と環境の復元力を保てる」
が×。
<4> 内容説明。やや難。
①は「社会体制を整備」が×。
②が正解。
③は「環境の影響を受けずに」が×。
④は「満足してもらえるように」が×。
⑤は「経済力」んび限定し過ぎで×。
<5> 会話。標準。
①は「練習を積み重ねたからこそ」
が×。環境との相互作用がない。
②が正解。
③は「自由な発想を活かして」が×。
④は「将来のニーズを予想」が×。
⑤は「オンとオフの切り替え」が×。
<6(i)> 表現。標準。
①が正解。
②は「筆者が独自に」が×。
③は「好ましくない」が×。
④は「患者に対する敬意を示す」が×。
<6(ⅱ)> 構成。標準。
正解は④。
「反論している」が×。