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2023.02.20

【共通テスト現代文10年分講評ー9】2018年①

【2018年 評論文】

【有元典文・岡井大介

『デザインド・リアリティ』】

 

 

【全体講評】

 

やや難。25分。

 

文章量と図の登場に、

少々面食らった受験生も

多いかもしれない。

 

しかし本年度の文章は、

身近でわかりやすい具体例を

どんどん示してくれるぶん、

前年度の硬質な科学評論「ゴレム」

と比較するとやや読みやすく、

力のある受験生なら満点も可能だ。

 

それでも、

現古漢合わせ40ページ超の問題量を

たった80分で、と考えると、

やはり総じては「やや難」と

言わざるを得ない。

 

 

【本文要旨】

 

「『デザイン』の定義」

=環境の加工

=対象に新しい意味や価値を与えること

=人々の行動と真理(知覚)が変わる

=アフォーダンスの変化。

 

「人間の基本的な条件」

=「デザインした現実」を生きる存在

=文化的な意味と価値の世界を生きる。

 

「´心理学(しんりダッシュがく)」

実際の人間の「心理」とは、

「現実を加工」する

「人間の基本的条件」からして、

常に「デザインされた心理」であって、

なまの「原心理」は想定できない。

しかし「旧来の心理学」は

この「心理(むじるししんり)」

を無自覚に想定しまい批判されている。

筆者は、「旧来の心理学」は、

文化的歴史的条件と不可分一体である

「´心理学(しんりダッシュがく)」、

すなわち「文化心理学」として

再記述されるべきだと主張している。

 

 

【設問解説】

 

<1> 漢字。標準。

アは②、2は③、ウは⑤、

エは⑤、オは②。

これくらいは全問正解したい。

「踏襲」は意味も大事。

以前までの方針を継続すること。

 

<2> 理由説明。標準。

「表現の特徴に関する問題」

などの一部の例外をのぞき、

「消去法」は使わない!

基本は「積極法」!!

すなわち、「記述式」問題のように

事前に「解答のイメージ」を持ち、

選択肢からそれを探す。

それがなくいきなり選択肢を見ると、

迷宮入りし時間を食う。

本問のポイントは

「世界は多義的でさまざまな

解釈に開かれている」こと。

ズバリ②が完璧に正解。

「明確な正解」と思える選択肢が

ない場合のみ「消去法」、

すなわち「相対的判断」で、

「最も適当」なものを

選ぶようにしよう。

 

<3> 会話(新傾向)。標準。

新傾向でもたじろがない。

必ず本文中

(本問の場合は設問文も含む)から

解答への根拠を探そう。

「会話」なのだから、「文章」同様、

前の文を受け、後の文に繋がる。

そういう意味では文脈の問題。

本問は、特に□の直後の、

「今ある現実の別ヴァージョンを知覚」

が大きな解答への根拠。

それを言い換えている⑤が正解。

 

<4> 理由説明。標準。

「傍線部中に指示語がある場合、

もはやそれは指示語問題」。

「このこと」=

「人間はデザインした現実を生きる」。

正解は③。

それ以外の選択肢は

本文に根拠を求められない。

 

<5> 内容説明。やや難。

正解は①。

②「´心理学」は「心理学」の

捕捉ではなく、

根本的に「再記述」するもの。

③本文では、「人間」と「動物」の

記憶を比べたりはしていない。

④注がポイント。

「デフォルト」=「初期設定」。

「初期」は「´心理学」ではなく

「原心理学(「心理学」)」寄り。

⑤「´心理学」は、

「心理+文化」の不可文体であり、

「心理+現実」の不可文体ではない。

①が完璧でズバリ直接法で選べるが、

紛らわしい選択肢が多くやや難。

 

<6(i)> 段落の表現。標準。

「表現問題」は「消去法」で解く。

「適当でないもの」を選ぶことに注意。

④が明らかに違うので標準レベル。

 

<6(ⅱ)> 文章の構成。標準。

今度は「適当なもの」

を選ぶことに注意。

本文は怒涛の「具体例」攻勢、

素直に④を選びたい。

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