こんにちは。
「逃げたら一つ、進めば二つ」
この言葉聞いたことはありますか?
話題の某アニメで使われていた言葉です。
このアニメの賛否等はここでは述べませんが、この言葉自体はとてもいい言葉だと思いましたので、今日は取り上げてみたいと思います。
幼少期、注射が痛いとわかるようになってくると、注射を嫌がる子はたくさんいますよね。このアニメの主人公も例外ではなく、この子の母親はこの言葉を使って我が子を説得しました。
ここで1つポイントになるのが、「逃げたら一つ」という言葉です。「逃げる」という言葉にはどちらかというとネガティブなイメージがありますよね。それは、生物として命を守るための行動だった「逃げる」が、現代では「責任や面倒な事柄を避ける」といった意味で使われ、逃げる人は弱い人というイメージがあるからかもしれません。
しかし、そういったマイナスのイメージがある「逃げる」に対し、この「逃げたら一つ」には、逃げることで得られるものが1つあるというポジティブな言葉として使われています。逃げる、ということをマイナスの意味には捉えておらず、逃げたら1、進めば2という風にどちらもプラス方向の意味として捉えています。
つまり、逃げても得られるものがあるのだから、一つの選択肢として積極的(能動的)に選択するのもOK、という意味が込められているように捉えられます。逃げると、社会的観念から「自分は逃げてしまったダメな人間」と自己否定してしまったり、周りからそのように評価されたり、されると思ってしまったりすると思います。ですが、この言葉の中には逃げることを肯定する意味が含まれていて、これまでの社会的観念へのアンチテーゼのようなものすら感じます。
私たちは、普段の生活の中でたくさんの「逃げ」を行っていませんか?やらなければいけないことを先延ばしにした、いつもやっていたことを今日はサボった等、小さなことなら案外たくさんあるものです。でも、その逃げを一回もやらなかったらどうなるでしょうか?それが人は強い意志を持っていて素晴らしいことだと思います。ただ一方で、イライラしたりピリピリしたりして、良い心の状態を保てないといったことが起こるのでは?と心配にもなります。私は現代の人が心のバランスを保つための「逃げ」が、適度に必要なことではないかと思っています。
ただし、あくまで得られるものが1つ、としていることも大事なポイントです。そう、進んだほうが得られるものが1つ多いんですね。
お話の中では、逃げると「痛みを避けられる」のですが、進むと「注射が怖くなくなる」「親が喜ぶ」といった表現がありました。実際のところ逃げても2つ以上得られることもあるかもしれません。しかし、あえて進んだほうが多く得られると表現しているのですから、「逃げるよりも進んだほうがいいよ」というメッセージが込められていると感じます。
先ほど「逃げる」も一つの選択肢と述べましたが、物理的に走って逃げるというようなことでなく、精神的に何かから逃げるときには明確な意思を持った行動自体はありません。一方で「進む」には自らの行動を伴います。しかもその過程では「誰か」や「何か」に関わる必要も出てきます。場合によってはその行動に複数の選択肢も出てきます。先ほどの例で言うと、注射を受けるなら医者を選ばなければならないし、親や医者と関わらなければ注射を受けられません。
進めば2つ得られる理由はここにあるように感じます。つまり。進むには「誰か」や「何か」に関わって、自分の考えで「選択」していくことで、その関わったものや自分の選択が絡み合うことで、逃げることよりも沢山の新しいものが生まれ、それを得られるということなのだと思います。恐らくそこで得られるものは自分にとって好ましいことだけではありません。悔しい思いもするかもしれません。ですが、そのプロセスで知ること、見ること、感じること、耐えることを経験し、人は成長すると私は思っています。
「逃げたら一つ、進めば二つ」
逃げることを一つの選択肢として肯定しつつ、進むことを奨励する(私見)この言葉が私の中でとてもしっくりきたので今回ご紹介しました。
学校生活、塾、受験など、生徒さんもいろいろな場面で逃げたくなる気持ちになることがあると思います。そんなときは「逃げたら一つ、進めば二つ」の言葉を思い出して、日々をポジティブに過ごしてもらえたらと思います。