教室ブログ

2022.11.30

干支(えと)について②

こんにちは、個別指導WAM西取石校です。

「干支(えと)」についてのお話の続きです。

「干支」とは、古代中国の順番を表す漢字である「十干(じっかん)」と「十二支(じゅうにし)」を組み合わせたもので、現在においても「年」を表すために用いられている、順番を表す言葉「数詞」です。「十干」の10種類の漢字と「十二支」の12種類の漢字の組み合わせですので、「干支」は10と12の最小公倍数60で1周します。こんな感じです。

 

甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸|甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸|甲・乙・丙・

子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥|子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・

 

60年で、暦(こよみ)が一周します。今と違って、昔は60歳まで生きる人はまれでしたので、自分の干支が戻ってくることを祝い、「還暦」のお祝いをしたわけです。

 

したがって、「今年の干支は?」と尋ねられたら、「寅年(とらどし)」ではなく、正確には「壬寅」と答えるのが正しいのです。「壬寅」は音読みすれば、「ジンイン」、訓読みすれば「みずのえとら」となります。「十干」の「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の訓読みは「きのえ・きのと・ひのえ・ひのと・つちのえ・つちのと・かのえ・かのと・みずのえ・みずのと」となります。なぜそのように訓読みするのかというと、中国の春秋戦国時代(前770~前221)に発生した陰陽説と五行説が関係します。

「五行説」は、十干の訓読みに関係しているだけでなく、占いや風水の根本にある思想です。また、現代においても、ポケモンや高橋留美子の漫画「マオ」の背景にある思想(水は火に勝つが、土に負ける)でもあり、「土用の丑の日」の「土用」や「北原白秋」の「白秋」の由来でもありますので、少し「干支」のお話からそれてしまいますが、知っていて損はないので、「五行説」についてお話しします。

五行説とは、万物は木(もく)火(か)土(ど)金(ごん)水(すい)の5種類の元素からなり、この5種類の元素が互いに影響し合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するという説です。

四季の変化も五行の推移によって起こるとされ、四季に対応する五行が、春が木、夏が火、秋が金、冬が水です。土はどこに対応するかというと、季節の変わり目を示すのが「土」であり、四季のそれぞれの最後の約18日間を「土用」と呼びます。現在では、「ウナギを食べて夏バテを解消しよう」という夏の終わりの時期の「土用の丑の日」だけが有名ですが…。

 

さて、この四季と対応する五行には、色と方角が配当されています。「木」のシンボルカラーが青(古代は青と緑は区別しません)であり、東を指します。「火」は赤(朱)で、南。「金」は白で、西。「水」は黒(玄)で北。「土」は黄で、中央を指します。中国神話の、天の四方の方角を司る霊獣、いわゆる「四神」もこれに由来します。すなわち、東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武です。芥川龍之介の「羅生門」に出てくる「朱雀大路」は、都の南に位置する大通りであるから、「朱雀」と名付けられたわけです。ちなみに中央に位置する黄竜または麒麟を含め、「五獣」と呼ぶこともあります。もちろん、青春、朱夏、白秋、玄冬といった言葉もこれに由来します。

 

この五行説と、それ以前からあった陰陽説が結合し、「十干」の訓読みとなったわけですが、それにつきましては、また、次回に。

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