こんにちは、個別指導WAM西取石校です。
「なかだるみ」という言葉があります。学期の中間である2学期、中高の学年の中間である2年生。意識的に気を引き締めないと、ついつい気持ちが緩んでしまいがちです。いよいよ、3学期制の学校では、2学期中間テストが近づいてまいりました。ご用心下さい。
さて、前回に引き続き、「は」と「が」の違いです。
「は」は、テーマを示す働きであり、「は」によって示された共通認識(既に知っている情報)の説明が以下に述べられます。すなわち、「は」の後ろが「新情報」であり、伝えたい内容です。「あなたは誰ですか。」に対して、「私は弁護士です。」と、「弁護士」という新情報が提示されるのです。
それに対して、「が」の方はどうでしょうか。「私が弁護士です。」はどのような状況で発せられるのでしょうか。
(3)「が」は未知のことがらに付いて、共通の認識である述語の主体であることを示す
「私が弁護士です。」という表現が発せられるのは、「この3名の中で、弁護士さんは誰ですか。」というような問いに対してです。述語の方が、先に話題として聞き手側に提供されている状況において、「私が」と名のり出るというシチュエーションです。すなわち、「が」は、「まだ知らないことがら」に付いて、既に知っている情報に続きます。「が」の前が伝えたい内容であるといえ、そういう意味では「は」の反対だといえます。
《「既知情報」は「未知情報」》に対して、《「未知情報」が「既知情報」》という関係です。ですから、「誰が弁護士ですか」という問いに対して、「私が弁護士です。」と答えることも可能ですし、「弁護士は私です。」と答えることも可能です。同様に考えて、疑問詞を使うときは、疑問詞が伝えたい内容なので、「疑問詞+が」という表現はありますが、「疑問詞+は」という表現はありません。
○「食べ物で何が好きですか。」 ✕「食べ物で何は好きですか。」
○「これは何ですか。」 ✕「これが何ですか。」
(4)「は」は文末、さらにはピリオドを越えて影響を及ぼす。
「AさんがBさんを訪ねた時」の後には、「Bさんは寝ていた」も表現可能ですし、「雨が降っていた」でも可能です。「Aさんが」という表現は「訪ねた」だけに関係していて、「時」以下には影響を及ぼしません。それに対して、「AさんはBさんを訪ねた時」はどうでしょうか。
「Aさんは」という表現は、下に「(Bさんを訪ねた時)どうする、どうなる」というAさんについての説明が要求されます。「AさんはBさんを訪ねた時、挙動不審であった」とか、「AさんはBさんを訪ねた時、気持ちが塞いでいた」という表現になります。すなわち、「Aさんは」は「訪ねた」には直接に関係しないで、その後の部分の文末とかかわっているといえます。「は」が主題を示す助詞であるためです。
さらにいえば、下の例のように、主題を示す「は」は、句点を越えてかかわってくる助詞といえます。
我が輩は猫である。名前はまだない。どこで生まれたかとんと検討がつかぬ。なんでも薄暗いジメジメしたところでニャーニャーと泣いていたことだけは記憶している。(夏目漱石「我が輩は猫である」)
「我が輩は」は、文末の「猫である」を越えて、「記憶している」までかかわっていることがお分かりいただけると思います。
以上、「は」と「が」の違いでした。