こんにちは、個別指導Wam藤の木校です。
しばし休憩、すうー、はー。
はい、酸素を取り入れて二酸化炭素を出しました。このように人や動物・植物などは絶えず「呼吸」をし、酸素を取り入れて二酸化炭素を出しています。
一方植物は、日光に当たったときには二酸化炭素を取り入れて酸素を出す「光合成」を行っています。光合成によって植物は二酸化炭素から有機物をつくりだし、動物は植物やほかの動物を食べることで有機物を取り入れます。そして微生物は生物の死がいや排出物に含まれる有機物を取り入れています。このような生き物の「食べる・食べられるの関係」を「食物連鎖」と呼びます。
中学校の生物単元で学習しますね。
また、前述した有機物には「炭素(C)」が不可欠な要素となっています。※無機物と区別する際にそのモノに炭素が含まれているかを見ます。
では、「炭素」という物質に注目して、この食物連鎖を観察してみると、光合成(CO₂⇒O₂)や呼吸(O₂⇒CO₂)、または食物連鎖にともなって形を変えて、生態系を循環しています。
このように循環するのは炭素だけではなく、様々な元素が循環しています。その一例として空気中で最も多くの割合を占める「窒素」の循環を見てみましょう。
窒素は空気の78%を占めていて、非常に安定しています。簡単に化合・分解できず、自然に存在している分には形の変わりずらい元素です。
窒素を利用した自然界の働きとしては、土に存在する細菌(土壌細菌)が、窒素ガスを硝酸塩(しょうさんえん)という物質に変えてくれます。
※ガス(気体)を固体の物質に変えることを「固定化」といいます。
ちっ素の固定化は、まれに雷でも起こりますが、ほとんどが土壌細菌によるものです。「土壌細菌にしかできないなら他の生物はあまり用いていないんじゃ?」と思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。窒素は生物にとって不可欠の存在です。
窒素は生物の体をつくるタンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸)の一部分になっています。さらにはDNAなどの核酸にも含まれているのです。
※タンパク質は筋トレにはまっている方、ダイエット中の方はご存じと思いますが、効率的にエネルギーを摂取できるだけでなく、免疫などにもかかわる重要な栄養素です。また、核酸は細胞内部に存在し⓵細胞を生み出すことに関わる⓶タンパク質の生成に関わる
上記2つの役割があります。
土壌細菌によって固定化した窒素は、タンパク質やDNAなどの合成に利用されて、タンパク質などは食物連鎖によって循環していきます。そして排出物や死がいの形で微生物などが分解し、窒素はアンモニアに姿を変えます。アンモニアは毒性がありますが、また土壌細菌により元の硝酸塩になります。一部の硝酸塩は別の土壌細菌により窒素ガスに変化します。
ここまでは炭素と似ていますが、決定的に異なる部分があります。窒素はほとんどの生物が形を変化させたり、有効活用できないと書きましたが、ここ約100年で人間によって非常に活用されています。
例えば、窒素は植物の肥料の重要な成分として活用されています。つまり農作物(野菜や植物)を通して私たちが食べている。私たちの体内にあるタンパク質の一部も、窒素の循環により巡ってきたものなのです。※肥料の使用に関しては生産された作物すべてに必ず使用されているというわけではありません。
まとめますと、
・窒素は非常に安定していて、ほとんどの生物が利用できない
・土壌細菌により固定化した窒素は、タンパク質やDNAなどの合成に利用されて、食物連鎖によって循環している
・窒素は肥料に使うために人工的に利用している
となります。
地域によっては今も、人工肥料による過剰な窒素が土壌から流出して、河川・沼地・海洋で富栄養化(栄養が過剰に増えること)が問題になっています。この富栄養化現象は一見、海の養分が増加していいことではないかと考えられますが、これは養分を過剰摂取したプランクトンが増殖し、それにより海の生物の生活を邪魔したり、プランクトンの呼吸で海水に存在する酸素が不足してしまいます。
海を汚すまいと努力した結果、富山湾や他の日本近海各地で逆に貧栄養化(栄養がほとんどなくなってしまうこと)が進んでいるところもあるようです。
海を汚すまいと努力するのは大事なことですが、ただきれいにするだけでなく、自然に満ちていた元の状態に戻すのはとても難しいことです。化学的に合成するのも理科(科学)ですが、海を汚すまいとしているのも理科(科学)です。島国に生き、海の恩恵を多分に受けているわれわれ日本人だからこそ漁業や海の環境問題にも目を向けていきたいですね。
<参考>
・富山の海が「水がきれいになり過ぎている」ことにより生き物が消えている
・窒素循環(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%92%E7%B4%A0%E5%BE%AA%E7%92%B0