成績の良い生徒と成績の悪い生徒を比較してみると、両者の違いは問題の解き方に顕著に表れてくる。プリントを渡して問題を解いてもらうと、成績の良い生徒は、わからない問題を飛ばしてとにかく最後まで解こうとする。そして、自分の解答に自信がなくても、ひとまずは解答欄を埋める。他方で、成績の悪い生徒は、わからない問題をいつまでも考え続け(あるいは考えているふりをし続け)、その結果最後まで解き終わることはない。
こうした違いは、勉強に対する認識の違いから生まれているように思う。成績の良い生徒は、「わからない問題をどんどん少なくしていき、解ける問題を増やしていこう。そのために、今はわからなくても教えてもらったり自分で調べたりしながら理解していけば良い」と考えている。しかし、成績の良くない生徒は、決められた時間椅子に座って問題を眺め、教えてもらった答えを解答欄に書くことが勉強だと思い込んでいる。前者は間違えた問題を解き直すことを前提に問題に向き合っているが、後者にはそれがない。
間違えた問題を何度も解き直してできないことをできるようにしていく生徒は成績が伸びていくのに対し、最初から解き直しをするつもりがなく教えてもらった答えを解答欄に書くことを目的としている生徒は成績が伸びない。したがって、実は上記のことは順序が逆なのである。間違えた問題を解き直すことが勉強だと認識している生徒は成績が伸びるし、正解だけを書くことが勉強だと認識している生徒は伸びない。
前者は自分の頭を使っているが後者は他人の頭を使っている、とも言える。もちろん、このことは、生徒に限らず大人でも同じである。人間としてどちらが成熟していくのかは、もはや明らかである。