教室ブログ

2021.07.28

初心に返ることの大切さ

こんにちは、個別指導Wam香川統括教室長の木村大輔です。

東京オリンピックが開催され約1週間、様々な競技がおこなわれていますが日本人のメダルラッシュが連日報道され、見ていると気持ちが熱くなりますよね。もちろん、競技を見ることで熱い応援を送りたくなりますが、競技後に行われる選手へのインタビューや特集の中で、その選手が競技を始めたきっかけや、苦難や挫折を乗り越え、努力してきたことを知ると、更に感動し勇気をもらうことができます。

今回、そんな選手たちの言葉の中から「初心」という言葉を何度か聞くことがありました。普段わたしたちが何気なく口にしている「初心忘れるべからず」とは、もともとは室町時代の能楽の大成者である世阿弥のことばです。現代では、一般的に「習い始めたころの、謙虚なはりつめた気持を常に失ってはならない、また、最初に思いたった一念を忘れてはいけない」という意味で使われますが、本来はより深く、繊細な意味を持っているのだといいます。

「初心不可忘」は、世阿弥の著書『花鏡』の最後にあたる「奥の段」に出てくることばで、実は以下の3つに分かれています。

「是非の初心忘るべからず」
「時々の初心忘るべからず」
「老後の初心忘るべからず」

「是非の初心」が説いているのは、「未熟な頃の芸を忘れることなく、さらに向上させていかねばならない」ということ。

「時々の初心」は、「その年齢にふさわしい芸に挑むということは、その段階においては初心者であり、未熟さやつたなさがある。そのひとつひとつを忘れてはならない」ということ。

「老後の初心」は、「老いてなお、初めて行う芸というものがあり、ここにも初心がある。完成したということはない」ということ。

つまり、どんなに鍛錬し芸を磨いてきたとしても、それぞれの段階では未熟なのであり常に向上心を失わず高みを目指すべし、と説いているわけです。最初の頃の、熱く新鮮な気持ちを忘れないという現代の一般的な解釈は、3つのうちの「是非の初心」にしか当てはまらないですから、世阿弥のことばの本意をとらえていないことになりますよね。

恥ずかしながら、私がこのことを知ったのはごく最近で、その時にふと思い出したのが
卓球の石川佳純選手のCM。「石川佳純は、まだまだです」というセリフをご本人が繰り返すのですが、いつも「いやいや、そんなことはないでしょう!」と心の中でツッコんでいました。彼女ほどの技術や精神力を持ったトップアスリートに「自分はまだまだ」と言われたら、自分の存在なんて…そう思ってしまうのですが、世阿弥のことばは、まさにこの「自分はまだまだ」という気持ちを常に持ち続けなさい、と言っているのだと感じたのです。

Wam香川は今、夏期講習の真っ最中で生徒たちが朝から元気に通っています。
これまで彼らにも幾度となく「初心を忘れないように」ということを言ってきたのですが、私自身が初めて教育の世界に飛び込んだ時や、この教室を初めて担当した際の新鮮な気持ち以上に、自分の未熟さを常に忘れることなくありたいと思っています。

「初心」は一生続きます。
だからこそ、お子さんがテストでいい点をとった時にあえて「あなたはまだまだできるすごい力を持っているんだよ」という言葉を、かけてみてはいかがでしょうか。

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