皆さんこんにちは。Wam種池校の車です。
小学校の算数で登場する「道のり・速さ・時間」に関する問題。苦手な生徒さんも多いですし、中学校の数学、さらには理科でもこれらを使う問題はよく出題されるので、避けて通ることができない問題です。
たとえば「速さの計算方法はわかる?」と生徒さんに聞いてみると、ほとんどの人がいわゆる「みはじ」の図を自力で書くことができます。
きっと小学校の授業で徹底的にこれを覚えるように指導されているのでしょう。それを中学生になっても皆さんが忘れていないというのは凄いことだと思います。
それでは、この「道のり・速さ・時間」の関係は、何か特別なものなのかというと、全然そんなことはありません。ある1つの量が、別の2つの量の積で表されるという関係は、どこにでも出てきます。
理科の授業をやっていて、電圧(Vで表す)と電流(Iで表す)と抵抗(Rで表す)の計算問題が出てきたときに、下のような図を書いて計算をする生徒を見かけたことが何度かあります。
この図は正しいです。つまり、「道のり・速さ・時間」の関係と、「電圧・電流・抵抗」の関係は、全く同様と言えます。
これを正確に覚えて使いこなせるなら確かに問題は解けます。しかし、ちょっと考えてみてほしいです。
たとえば力と圧力と面積、質量と密度と体積、水蒸気量と湿度と飽和水蒸気量など、同様の関係を持つものはいくらでもあります。それらが登場する度に、この形の図を書いて覚えるのが本当に良い勉強法なのでしょうか。もうちょっと効率の良い方法があるのではないでしょうか。
先ほど述べたように、これは要するに「何かと何かの積が何かになっている」だけなのです。
道のり=速さ×時間、電圧=抵抗×電流、力の大きさ=圧力×面積。覚える必要があるのはこれらの関係だけなのです。
つまり、たとえば電圧20Vの電源に抵抗5Ωの電熱線をつないだとき、流れる電流は何Aか?という問題が出たら、求めるものをxとおいて
20 = 5x
という式を書けば、答えが4Aであることは求められますよね。
ではなぜあの独特な「みはじ」の図を我々は習うのか、というと、小学校の時点ではまだ1次方程式の解き方をしっかり学んでいないからです。武器を持っていない人に仮に支給された竹の棒みたいなものです。
中学生になり、1次方程式が解けるようになったのなら、求めるものを文字で表して公式に当てはめれば、あとはどうにでもなるのです。みはじ型の図はもう必要ありません。
理科の計算問題が苦手な生徒さんにありがちなのですが、数学の問題として出された方程式は解けるのに、理科の問題の中で出てきた同様の方程式はなぜか解けなかったりします。きっと頭の中で数学と理科が繋がっていないのでしょう。
数学と理科は関わりが深い科目なので、理科の問題の中で数学を使うことは全然珍しくありません。
出されるシチュエーションが違うだけで、やることは全く同じなので、冷静に対応することさえできるようになれば必ず解けるはずです。
実は現在、夏期講習で理科の受講をしてくれる中3生徒を主な対象者とした、理科の計算問題練習用オリジナルプリントを作っているところです。
今まで苦手だったことができるようになるという体験を、できるだけ多くの生徒さんにしてほしいという思いをこめて作成しています。
皆さんの学力がこの夏で大きく進歩することを願っています。頑張りましょう。