こんにちは、個別指導Wam西取石校です。
「非常事態宣言」下、いかがお過ごしですか。当塾の近隣の学校でも、コロナ関連での休校措置をとった学校が複数ありました。新型コロナの脅威を身近に感じる今日、この頃です。
そうした中で、3学期制の学校では1学期中間テストの時期となります。不安を抱かずにはおれませんが、今を一つの節目ととらえ、しっかりした学習計画を立てて取り組んでほしいと思います。
さて、「音読のすすめ」の続きです。
声に出して文章を読むと、脳の前頭葉にある「前頭前野」と呼ばれる部分を中心に脳全体が活発に動き出すことが脳科学の研究によって明らかにされました。考え事をしている時やテレビを見ている時、ほとんど脳は活動していません。視覚を使うゲームでさえ、脳の活動量は「音読」の3分の1以下です。すなわち、「音読」は、手軽にできる、最強の「脳トレ」だといえます。
では、音読によって活性化する「前頭前野」とはどのような脳の部位なのでしょうか。
脳の一番外側の部分である「大脳」、その「大脳」の前方部分を「前頭葉」といい、その「前頭葉」の前部分が「前頭前野」です。ちょうど「額」の裏の部分に位置する大脳の一部分といえます。
生物の進化は大脳の発達により進みました。大脳が発達するにつれ、魚類から哺乳類へと生物は進化してきました。そして、その大脳に対する前頭前野の占める割合は、猫で3.5%、犬で7%、猿で11.5%、チンパンジーで17%であるのに対し、人間は29%を占めます。すなわち、前頭前野は、他の動物とは違う、人間が人間らしい活動をおこなうために働く部位であるといえます。具体的には、感情をコントロールしたり、論理的な判断を下したり、未来を予測したり、行動計画を組み立てたり、行動計画を実行するかどうかを決定したり評価したりする役割を担っているのが前頭前野です。人間の精神活動を司る部位、もしくは知能や情緒を司る部位が前頭前野だといえます。
例えば、非常に優秀で、人々から尊敬される模範的な紳士であった男性が、事故で前頭前野を中心とした脳部位に大きな損傷を受けたことで、健康状態は良好であるものの、衝動的で無礼な行動をとるようになり、優柔不断で移り気な人柄に変わってしまったという報告があります。また、前頭前野に脳腫瘍ができたため、その切除手術を受けた結果、料理を作ることができなくなったという女性の例もあります。前頭前野に損傷を受けると、順序だった行動を組み立てるということができなくなってしまうのです。さらには、前頭前野を切り取ったチンパンジーがたいへんおとなしくなったという動物実験に基づき、精神病の治療法として、精神病患者の前頭前野を取り去るという脳手術が試みられた時代が、かつてありました。その結果、おとなしくなるというより、無気力・無関心になってしまうことが判明しました。このことは、前頭前野が意欲、注意、パーソナリティーに重要な関りがあることを示しています。
「人間らしい」行動をおこなうことと密接なかかわりのある「前頭前野」、そこを活性化させる「音読」を、ぜひぜひお勧めいたします。その絶大な効果は学習面にとどまりません。