こんにちは。個別指導Wam小宮町校です。
都立高校入試は,日曜日に学力検査が行われ,来月2日の合格発表を待つばかり……と思っていたところ,こんなニュースが飛び込んできました。(以下は,東京都教育委員会のHPより)
令和3年2月21日に実施しました東京都立高等学校入学者選抜学力検査(国語)において、問題に誤りがありました。
選択肢から一つを選んで解答する問題のうち、適切に一つの選択肢を選ぶことのできない問題があった。
本問について、全員に一律5点を与える。
問題となっているのは,大問5の問5です。
「無名抄」の現代語訳の中の語「かならずや」に傍線が引かれ,その言葉が直接かかる文節を選ばせる設問でした。
あなたはかならずやこの先の世の中で歌の名人でいらっしゃるに違いない上に,このように師弟の約束をされたので申すのです。
選択肢は,次の4つです。
ア 名人で イ いらっしゃるに ウ 違いない エ 申すのです
都教委の示した正解は「イ」でした。しかし,「ウ」でもよいのではないか,という指摘が寄せられたようです。
なかなか難しいところですね。
「かならずや」は「かならず」を強調した表現です。
「かならず」という副詞は動詞を修飾する言葉であって形容詞は修飾しないと考えるのが一般的です。
その限りでは,「違いない」にかかるとは考えにくいところです。
ただ,この文の場合,「歌の名人でいらっしゃるに違いない上に」という部分が連文節であるとも考えられます。
そうなると,文節を単位として考えることそのものに無理があるのかもしれません。
国文法には学説が諸々ある上に,慣用表現などのように文法通りにはなっていないものもあって,解釈が分かれる問題も少なくありません。
今回は,この設問の配点である5点を全員に与えるということになりましたが,来年度以降は,これに懲りて係り受けの出題を避けるようになるかもしれませんね。