皆さんこんにちは。Wam藤の木校の車です。
今回は先週投稿した鏡はなぜ左右だけ逆に映るか?の記事の解説をします。
前回の記事をまだ読んでいない人は、是非そちらを読んでからこの記事を読んでください。
まだ自分で考えたい!答えを知りたくない!という人は、以下の部分を読まないように気を付けてください。
結論から言いますと、「実は左右も上下も逆にはなっていない」が正解です。
だって逆になっているじゃないか!と思われる方が多いと思うので、順を追って説明します。
たとえば下図のように、鏡に向かって右手を上げて立つとします。
すると、鏡にはどのような姿が映るでしょうか?
ご覧の通り、左右も上下も逆にはなっていない姿が映ります。
しかし、これが左右逆に見えるかと言われると、多くの人が「見える」と答えると思います。
なぜなら、鏡に映っている姿は右手ではなく左手を上げているようにしか見えないからです。
その様に見えるのは、人間の認識の仕方に原因があります。
実は逆になっているのは、左右でも上下でもなく「前後」なのです。
自分は鏡に向かっているのに、鏡の中の人物はこちらを向いています。
この像を見たときに、人間は「もし自分が向こうからこちらを見るとしたら」という想像をします。
その際、前後を逆向きにするために、頭の中で自分を回転移動させます。
このように水平方向に回転移動した姿を想像するため、「鏡に映った自分と本来の自分が左右反対になっている」という認識をします。
つまり、左右が逆になっているのは鏡の中の像ではなく、頭の中で回転移動した自分の方なのです。
先述の「なぜ上下は逆にならないのか」という疑問に対しては、下図のように垂直方向に回転移動する自分を想像すれば上下が逆に見える、というのが解答です。
しかし、現実に鏡を見たときに「上下が逆になっている」と思う人はまずいません。なぜでしょうか?
ここからの説明は感覚的な部分を含むので難しいのですが、重力が下方向に働いている以上、垂直方向に回転するのは水平方向に回転するのと比べてあまりにもハードルが高いから、というのが答えになると思います。
別の言い方をすると、我々は上下方向を先に定義してから左右を定義するから、とも言えるでしょう。
あれっ右ってどっちだっけ?と咄嗟に判断できなくなってしまうことってありませんか?(私はあります)
この症状を左右盲と呼びますが、上と下がどちらかわからなくなってしまうことはまずないでしょう。
それこそが、上下と左右の認識優先順位の絶対的な差なのです。
とても長い説明になってしまいましたが、以上が解答となります。
わからない点などありましたら、遠慮なく質問してください。
このように身近な現象に疑問を持つことで、想像もしないような知見が得られることはしばしばあるものです。
意外と理科って面白い!と、好きになれるきっかけができればいいなと思っています。