こんにちは。個別指導Wam小宮町校です。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中で,アメリカの2つの大手製薬会社が開発中のワクチンについて,治験結果を相次いで発表しています。
「感染を防ぐ有効性が90%以上」
この報道に,これで一安心だと思われた方も少なくないのではないでしょうか。
しかし,この「90%以上」という数値には注意が必要です。
一見すると,「100人に接種して90人以上に効果があった」と受け取りたくなります。
ところが,これはそういう意味ではありません。
「ワクチンを接種せずに発症した人のうちの90%以上は,もしもワクチンを接種していたら発症しなかっただろう」という意味だそうです。
さらに,両社は治験の参加者数を,それぞれ4万4千人,3万人以上としていますが,どちらも「90%以上」の分母ではありません。
1社は94人,もう1社は95人の発症者を分母としており,そのうちの「90%以上」なのです。
もちろん,高い有効性が期待できるということそのものは間違いないと思います。
しかし,数値の意味を正確に理解した上で評価することが肝心です。
消費税率は,昨年10月から10%ですが,税率が上がる際には「増税分を還元する」という名目のセールが行われることがあります。
税率が8%から10%に上がった際には2%値引きする,というわけです。
ですが,……。
税別10,000円の商品は,税率8%なら10,800円,10%なら11,000円です。
この11,000円から2%値引きをすると,どうなるでしょう。
11,000円-(11,000円×0.02)=10,780円
税率8%の時の価格よりも20円安くなってしまいます。
消費増税分2%の分母は税別価格の10,000円です。
一方,値引き分2%の分母は税込価格の11,000円です。
同じ2%でも,「何の」2%なのかということに注意する必要があるのです。
見聞きした数値を鵜吞みにせず,その意味をよく考えて理解すること。
これもいわゆる「情報リテラシー」ですね。
算数や数学の文章題でも,設問に示された数値や,計算によって求められた数値が,それぞれ何の値なのかということを,きちんと確認することが求められます。
やはり算数・数学は,生きる力を養う教科なのだとわかります。