この季節になると思い出すのが、タイトルにある太宰治の短編小説「葉桜と魔笛」です。
「このように葉桜の頃になると思い出します。と、その老婦人は物語る。」で始まるこの小説は、
数ある太宰の作品の中で、私が最も好きな作品です。
昭和14年に発表された作品で、戦争中の暗い時代に、唯一太宰だけが、キラキラした良質の作品を
発表していた、その頃の作品の1つです。
物語世界の「今」は、発表時の一年後、昭和15年に設定されており、「今」から35年前、すなわち
1905年の、日露戦争中の「ある日」の出来事が物語られます。
しっかりと、でもさりげなく伏線が張られており、それをうまく、かつ上品に整理して、
一つ目の「どんでん返し」があり、さらにもう一つの「どんでん返し」。
物語に引き込まれることは請け合いで、本当に「物語らしい物語」です。
ゴールデンウィークの読書として、ぜひお勧めします。
角川文庫の「女学生」に収められていると思います。10分ぐらいで読める作品です。ぜひぜひ。
…… 言い忘れていました。勉強でお悩みのことがありましたら、教室に気軽にお越しください。
ワムの扉は、あなたのために開かれています。