こんばんは、Wam六十谷校の川口です。
生理学的に見ると脳のシナプスは10の14乗個ありますが,人は10の9乗秒しか生きられません。サンプル数よりパラメータ数の方がずっと多いことになり、直接経験することより多くの情報を処理していかなければなりません。脳のシナプスの重みを決定するためには1秒あたり105個の制約が必要となり、得た情報に対して本質的な構造を見抜くための理解が必要になります。
最近自分の記憶力を鍛えるためにいろいろな覚え方を試していますが、記憶力を向上させるポイントにはいくつかあるようです。1つは、「環境刺激」です。外部からの情報は、まず感覚記憶で捉えられ、それが短期記憶となり、これを繰り返すことで長期記憶になります。記憶は映像、音、言葉など多くの分野に分けて保存されています。記憶は貯め込めば良いというものではなく、大脳皮質の様々な場所に保管されている長期記憶を、必要なときに必要な記憶を引き出して(想起)使ってこそ意味があります。多様な環境から得た情報は海馬の活性化を促し、脳の成長も大きくなります。
2つ目は「主体性」です。自分から進んで行う事で効率的に記憶することができます。脳の奥深くにある脳幹部分には、青斑核という青い小さな部分が左右1つずつあり、この青斑核は、あるものに注意を向けたりすると興奮してノルアドレナリンを作り、脳全体に供給します。ノルアドレナリンは、脳の柔軟性を増し、神経細胞ネットワークを作りやすくさせます。私達が初めての場所に行ったり、新しいものに出会ったりして興味を持っている時、海馬から脳波のシータ波が出て、シナプスでは情報伝達の効率がアップします。
3つ目は知的好奇心です。人間は生まれた時から、もっと知りたいもっと学びたいという知的好奇心があり、それに注目して物を考え学習するように出来ています。脳では、何かをして上手く行った時「良い気持ち」になる脳の報酬系機能があります。脳の深い部分からはA10神経と呼ばれる神経束が伸びていて、大脳辺縁系から前頭葉に向かっており、学習を行っているとこの神経が刺激され、βエンドルフィンが出て「もっとがんばる」という気分になれます。
これらの3つを具体的に進められるように心がければ、ただの暗記も楽しい作業に変わるように思います。特に、覚えやすいような語呂で関連付けたり、思考過程を想起し追走することで定着が図れます。生きていく上でいろいろなことを覚えることは必要になってきます。覚えたい気持ちをうまく持って挑んでいきたいですね。