阪神の震災から21年が経ち、センター試験や中学受験の時期になり、さすがに寒さがやってきました。東北の震災からははや5年になろうとしています。寒くなってくると、私は自分の郷里を思い出します。
私は福島県の会津というところで生まれ育ちました。福島というと原発、放射能というワードがまだ脳裏をかすめるかもしれません。会津地方は新潟との県境なので、津波の影響もなく、被害は少ない方でしたので、今も海側から移り住んでいる方が多くいらっしゃいます。福島は原発の影響で世界にも知られる地名となってしまいましたが、会津というと日本史を知っている方じゃないと知らない人が多いかもしれません。山間の為雪も多く、この時期は極寒です。ただ、寒いけどあったかい人が多く、なんかこう古き良き日本の文化が残っているというか、私にとっては懐かしい城下町です。美しい自然も多く、山の幸も豊富なので観光にもおすすめです。
会津というワードは中学の教科書や塾の教材ではあまり登場しませんが、幕末、明治維新の時代に悲運な運命をたどる藩なのです。教科書の中ではどうしても薩摩や長州藩がクローズアップされますが、会津藩は旧幕府軍として、薩摩、長州藩中心の新政府軍と戦わなくてはならなかった藩なのです。会津藩も本当は戦いたくなかったのですが、幕府に忠義を尽くさなければならない歴史があり、新政府に恭順を示していたにも関わらず、新政府軍に会津の地に攻め込まれた為、藩士は戦うしかなかったのです。武家の多くの女性子供は自ら命を絶ちました。自決した15、6歳の白虎隊を知っている方も多いかもしれません。詳しくは歴史を勉強してほしいのですが、会津の人々は戊辰戦争後、賊軍の汚名をきせられ、明治、大正時代と中央で活躍することはままならなかったのです。
こういった知識は、私は自分の郷里だから知っていますが、知らない人の方が多いと思います。ただ歴史の面白さに気づいている人は知っているかもしれません。歴史は見方を変えれば多種多様な顔に変わります。心理学や恋愛の勉強にもなります。色々な視点から物事をみること考えることが知性です。無限の可能性を引き出せるのも知性です。
維新から日本は経済的な発展を遂げる流れになり、最近のテクノロジーは凄いなとおじさんは思ってしまいます。ただ、さまざまな問題も内包している社会なのも事実です。日本は島国で他国からの脅威も少なく、農耕民族だったこともあるのか、自然と共生し、江戸時代の文化も捨てたものじゃないと思ってしまう方です。賛否はあると思いますが、西洋の文化はいいものもたくさんありますが、どちらかというと、自然や他民族を支配するという考えがあるように思えてならないのが、私が歴史から学ぶ知です。日本にも差別がないわけではありませんし、今は格差や貧困が拡大しつつあります。金融資本主義は、今までいいものもたくさん作り上げてきましたが、自然破壊も進み、人々の心はどうなの?となると問題もあるのではないでしょうか。かといって今の消費経済を止めることは出来そうにありません。古き良き文化を見直しながら新しい時代をつくっていかねばなりません。そう勝手に温故知新だと思っています。
こういうことを話し出すと止まらなくなるのでまとめます。今日も自習に来て、目の前で受験勉強を頑張っている中学生をみていて、高校生になったら選挙権もあるし、やはり知性を磨いてほしいと思ってしまうのです。色々な角度から物事をみて判断出来る人になっていってほしい。出来たら弱者や敗者の為に。
また、これは自分自身に向けてもですが、自分の弱さに向き合える人、その姿勢がある人が、知的な人だと思うので、そんな姿勢にこだわってくれたらうれしいです。
では、そろそろ教室閉めます。次回は多分「生」にします。
田崎