まず始めに、今月のWamだよりに書いた内容を紹介いたします。
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ただ日本の外に出てみたいという漠然とした願望だけで降り立ったカナダの地で、英語なんてろくに出来ない十九歳の少年は、その後の人生の転換期となる、最高の半年間を過ごした。
「またここに戻ってきたい」、「もっと色んな国に行ってみたい」
そんな思いを胸に帰国した少年は、あらゆる英語の参考書を買い漁り、取り掛かっては断念し、結局最後にたどり着いたのは、中学英語の参考書だった。「ネイティブが使う生きた英語を学びたい」、「進行形と現在形のニュアンスの違いを知りたい」、「なんでここで使う前置詞はinなんだろう」勉強をし始めると、「?(はてな)」と「焦り」が無限に増え続けた。なぜこうなのか。なんでこうなるのか。まどろっこしい事はいいからピンポイントでそこが知りたいんだ。
ただ死ぬ気で勉強して、苦戦して、右往左往に奔走して、最終的に行き着いたのは、「やっぱり最初からやろう」という結論だった。結局そこに立ち返るのである。何をどう理解しようとしても、基本が完璧に理解できていなければ、そこに立ち返らざるを得ない。Be動詞が何かもわかっていない人間が、どうして進行形と現在形の違いを理解できようか。方程式も使いこなせない人間が、どうやって関数のテストで好成績を残せるというのか。ようはそういうことである。
しかし、やっかいなことがある。一つは、基本は死ぬほど繰り返さないと身につかないということ。もう一つは、基本の大切さは「本気で勉強した人」にしかわからないということだ。特に小学生から中学一年生までを見ていると、基本の大切さがさっぱりわかっていない生徒が多いといわざるを得ない。「ここはできるから大丈夫」、「こんなんじゃなくてもっと難しいことをやりたい」
違う。それは定期テストで満点をとってから言うことだ。「相手をよく見て、脇を締めてすばやく打つんだよ」と説明され、いきなりジャブを打てるようになるボクサーはいない。絶対いない。千回のミット打ちをこなして初めて、まともなジャブが打てるようになるのである。
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Wamだよりで書ききれなかったことを、ここで補足しておきたいと思います。
英語にはこんな言い回しがあります。
“It all comes down to fundamentals”
“fundamental”は「基礎」や「基本」、come down to~ で「かえってくる」、「結局~になる」という意味ですから、ようは「基礎が全てである」という言葉です。僕は、よくブログでも言っていますが、アメフトが大好きなのですが、フットボールは非常に戦術的なスポーツで、「プレーブック」とよばれるものがあり、選手はそこに記載されているフォーメーション、プレーの種類、自分が行なうべきプレーを全て覚えなければならないのです。アメリカのプロリーグであるNFLレベルになると、辞書みたいな分厚さになるそうで。
しかし、戦術を考える上で、大切なことがあります。それは、実際に選手が実行可能なのかどうかという点です。戦術は机上で作られるものですから、難しくしようとすればいくらでも難しく出来る。ただ、それに選手がついてこられるのかどうか。たとえその戦術自体が素晴らしいものであっても、それを実行できる人間がいなければ、それは机上の空論であり、戦術としては使い物にならないということになります。
フットボールにおいて、この”fundamentals”という言葉は非常によく使用されるのですが、それは僕は、物凄い奇策や誰も思いつかなかったような戦略を編み出す事はできるけれど、結局それを実行する選手たちの「基礎」、例えばしっかりタックルするだとか、ボールをファンブルしないようにだとか、これまでのトレーニング、練習での準備、それらが最も大切だということなのだと理解しています。
それは勉強にも通じるところがあると思います。
でんぐり返しができないのにムーンサルトを教えてくれといわれても、それは出来ない相談なのです。地道に基礎から、一つずつ時間をかけて積み重ねていく。それが唯一つの道であるということを、よくよく理解した上で、皆さんには勉強に励んでもらえればと思います。
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