僕は大学生の頃、某ホテルでアルバイトをしていたのですが、そこは定期的に海外からインターンシップ生を受け入れていました。普通は外国の人と一緒に働く機会ってそうそうないと思うんですが、そのおかげで僕は約三年間のバイト生活で、おそらく十人近くの外国人と働く機会がありました。
その中でも、特に印象に残っている人がいます。彼女は韓国からの留学生でした。彼女たちの中にはまだ日本語が上手でない人もいたのですが、彼女は流暢な日本語を話していたし、とても素直で真面目で、しかも愛嬌のある素晴らしい同僚でした。しかもその子の留学先は大阪大学。レベルの高い大学に行きながら異国の地でアルバイトするなんて、凄いなぁこの子はと感動したものです。それ以前にも韓国人のインターン生と一緒に働いたことがありましたが、大体いつも二人組みで働くんです。でも彼女が働き出した時は韓国人はその子だけで、それもまた感動が増した要因でもありました。
それだけじゃないですよ?彼女は日本にいる間、一人で北海道旅行を決行し、しかもネットで仲良くなった日本人の女性に案内してもらったそうです。「一人で旅行なんて信じられない」なんてことを言う同僚もいましたが、僕はその行動力にますます感心させられました。中々できないですよ。僕も留学に行きましたけど、一人で大阪から北海道レベルの移動距離がある旅行はしませんでした。しようという発想すらなかった。僕がそういって「君は本当に凄い」と褒めると、顔を照れながら真っ赤にして「そんなことないです」と謙遜していました。その反応を見ても本当にいい子なんだなと思います。
ある日、その子に聞いてみたんです。なぜ日本語を勉強しようと思ったのか。そしたら驚きの答えが返ってきました。
「私は小さい頃から名探偵コナンが大好きだったんです。韓国でも字幕つきで見れますけど、日本での放送からだいぶ遅れてしまうし、日本語で理解できるようになりたかったんです。だから日本語を勉強しようと思いました。」
それで名だたる大阪大学に留学して、異国の地で働いて、一人で北海道まで旅行して。なんてやつだと思いました。もちろんいい意味で。実は僕も全く同じ経験をしていました。洋楽やアメフトが好きで英語を勉強して留学したようなもんですから。でもそれでも凄いと思った。僕なんかより何倍も。
好きなことの為に、それをきっかけに頑張ってきたという共通点を知って、凄く親近感というか、「やっぱりそうやんな」って自分の中で納得もできたし、でも僕なんかより断然行動力があって、日本語も上手に話していて、勉強もできて。自分なんかまだまだ未熟だって。更に精進していかないとダメだって思い知らされました。
そうして僕の人生観に強烈なインパクトを残して帰っていった彼女ですが、どうやら今も元気に頑張っているようです。それに、きっと彼女ならどんな苦難も乗り越えられるんだろうなって勝手に思ってます。
生徒の皆さんも何かしら好きなことや好きなものってありますよね。歌手や芸能人、スポーツ選手でもいいですし、本や漫画やアニメであったり、ゲームや部活や習い事でもいい。僕も学生の頃、たくさんの趣味を持っていました。浅く広いことが多かったですが、とにかく好奇心が強くて、寝る間も惜しんでそれらの趣味に没頭していました。今思えば、よくもまぁこんなに色んなことに手を出していたなぁと思います。どうやって時間を見つけていたのか、よく分からないぐらい。実際のところ、反省していることもあります。普段の生活に支障をきたしたこともあったし、中学の頃は諸事情あって半分不登校だったので時間に溢れていましたが、趣味に走る前にちゃんと学校に行っておくべきだったなと。
ただ、僕は今まで自分が好きになったものの全てに感謝しています。
そのおかげで今の自分があるから。
高校の頃に買ったアメフトのゲームは中身が全部英語でした。だから常に電子辞書を片手にプレーしていた。好きな洋楽の歌詞は何度も書いて暗記しました。意味はよく分かっていなかったけど。アメフトの最新ニュースは日本語のサイトでは手に入りにくいので、現地のサイトで仕入れていました。最初は写真や雰囲気だけしか分からなくて、一文ずつ辞書を引かないと読めなかった。中学生からの趣味が転じて、僕は英語を勉強したいと思い、留学にも行き、そして今、英語が話せるようになり、皆に英語を教えられるまでにいたりました。
夢だったんです。いつか英語を喋られるようになって、フォックスボロでトム・ブレイディがタッチダウンパスを投げるところを見て、マンチェスターで(今はマドリードですけど)クリスティアーノ・ロナウドがハットトリックを決めるところを見て、レッスルマニアでザ・ロックのピープルズ・エルボーを見ることが。
到底叶うと思っていなかった夢に僕を導いてくれたのは、夢それ自体であったし、それは僕が好きなことたちだった。大人になるにつれて、関心が薄れていったこともあります。アニメや漫画は見なくなったし(コナンは好きですけど)、そもそもTVを見ることもなくなった。ゲームも滅多にしません。でも、ちょっとしたことが違っていたら、もしかしたら今頃ぼくは、アニメや漫画やゲームに携わる仕事についていたかもしれない。
その自信が僕にはある。
好きなことをただ好きなだけで終わらせない自信が。
好きなことをとことん追い求めて、それを自分の人生に生かせる自信が。
だって、僕はそれを実現したから。
若い皆さんの目には、色んなことが輝いて見えるはずです。アニメでも漫画でもアイドルでもスポーツでもゲームでも何でもいい。なにかしら好きなことがあるはずで。それはね、とことん好きでいてください。やめる必要はない。自分で「なんかまぁいっか」ってなったら、卒業したらいい。そうでないなら、例えば周りの目とか、そういうので自分の好きなことを諦めたりやめる必要は僕はないと思う。誇りを持ってください。自分が好きになったことに。持ってるでしょ?だって、自分が好きな芸能人や歌手や漫画を馬鹿にされたら、めちゃくちゃ腹立つと思うんです。絶対むかつきますよ。僕はむかつく。たぶん自分が馬鹿にされたとき以上にキレます。そういう趣味なら、僕は今後もずっと大切にしてほしい。だってそれは、いつか君を信じられないような高みへ連れて行ってくれるかもしれないから。
でも、もし君が自分の好きなことを言い訳にしているなら、それはおかしいと思う。
というのも、この前Twitterでこんなものを見つけたんです。
昨夜の飲み会で「オタクだからモテない」みたいなことずーっと言ってた男を「モテないことをお前の好きなもののせいにすんじゃねえよ」一喝したギャル、しびれた
今かなり話題になっているので、もしかしたら皆さんも見かけたかもしれませんね。でも本当にその通りだと思うんです。自分がダメなのを自分の好きな事のせいにするって、そんなこと僕には耐えられない。それって自分の好きなことを愚弄して汚すことでしょ?他人にされたら一番腹立つことじゃないですか。
本当に何かを好きなら、その愛と情熱がその人自身をより良い方向へと運んでくれるはずなんです。絶対に。よく生徒や保護者さんからも、「部活や習い事やバイトが忙しくて勉強が~」という声を聞くことがあります。その事実を否定するつもりはありません。ただ僕はそれが言い訳でしかないことを知っていますし、それを一番よく分かっているのは生徒本人なことも知っています。
自分の好きなことや情熱を傾けていることのせいで自分は他のことができない、できなくなった、時間がない。そういう言葉を僕は信じません。だったらやめてしまえばいい。そんなことを言うってことは、どうせたいした愛も情熱もないんだから。だって自分で自分の好きなものにつばを吐くようなことをしておいて、
「いやでも部活や習い事は続けたくて」
「趣味に使うお金がいるからバイトしないと」
そんな馬鹿げたことないでしょう。何も「好きなことを極めてそれを仕事にしろ」だとか、「海外の歌手が好きなら英語を話せるようになれ」だとか、そういうことを言っているわけではありません。
ただ、「この選手が頑張っているのを見て俺も頑張れるや」とか、「この漫画であのキャラがこんな台詞を言っていて、凄く感動したから、それをモットーにしてこれから前向きに生きていこう」だとか、そういうことです。
好きだからこそ頑張れる。
僕は常々、「それが自分の為にしかならないこと」よりも、「誰かの為になること」に人はより大きな力を注ぎ、発揮することができると信じています。僕は一人暮らしですが、自分の為に手の込んだ料理をする気にはなれませんが、それを食べて喜んでくれる人がいるならいくらでも手間を惜しみません。そういうことです。
想像してみてください。例えば皆さんが憧れの人、歌手にしましょうか、と幸運にも話す機会があったとして、「私はあなたのことが大好きで、どんな歌もパフォーマンスを欠かさずチェックしてます!そのために勉強もサボって学校にも行かず、お金は全部あなたにつぎ込んで、そのせいで恋人もできないですけど、それぐらい好きなんです!」って言われて、その歌手は嬉しいんでしょうか。
それよりも、「私はあなたのことが大好きで、あなたの歌やライブでの勇士に勇気付けられたおかげで、こんな辛いことやしんどい時期も乗り越えることができました。おかげで昔は夢にも思っていなかったけど、こんなことができるようになったんです!」って言われたほうが、たぶんその歌手も心に響くんじゃないかなと僕は思います。
人が趣味に傾ける情熱や愛の力は凄まじいものであることを僕は知っています。
勉強嫌いでろくに学校も行かなかった男を英語講師にさせるぐらいの力が。
コナン好きの少女にあそこまでの行動力を発揮させる力が。
皆さんにはぜひ、その力を原動力にしてもらいたい。
「あの人の為に」、「あの人も頑張っているから」、「あの人があんな風に言っていたから」、「これが私のやりがいだから」、「これがあるから僕は頑張れるんだ」。ドラゴンボールの”We gotta power” という歌の中にもあるでしょう?
「夢中になれることが、いつか君をすげぇやつにするんだ」って。
君が夢中になりさえすれば、ドラゴンボールだって君をすげぇやつに変えられるかもしれないんです。
コナン君にできたんだから、きっと悟空にだってできるでしょう?
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