こんにちは。個別指導Wam小宮町校の秋元です。
夏期講習24日目。8月9日が来るたびに。
8月9日。長崎の原爆記念日。
学生時代、広島、長崎に卒論テーマの資料集めに行った時のこと。長崎で3~4泊して調査が必要でした。ただお金はなく、どうしようか行く前から困っていたところ、友人のご両親が長崎在住だと知り、お手紙を出しました。「3~4泊させていただけませんか」と。
快諾していただいたのですが、あとで友人から聞いたところ、「秋元の手紙の文章が気に入ったらしい」とのこと。
お宅を訪ねて、最初に自分の食費分ぐらいはお渡ししなければと考え、いくらかを封筒に入れて差し出すと、
「勉強で来たんだろ。それで必要な資料でも買いなさい」と受け取ってもらえませんでした。嬉しくてグッと来たものです。
「ただし一つだけやってもらいたいことがある」お父さんがおっしゃるので、「なんですか」と少し緊張すると、「晩酌には必ず付き合うこと」 なんだ、そんなこと。
ところがお母さんが困った顔で、「あなた、無理言っちゃダメでしょ」とたしなめていらっしゃるので、「?」
その晩から、お母さんの言われた意味が分かりました。お父さんはとにかくお酒が強い!だいたい夜中の3時ぐらいまで付き合わされるのです。それに話題は哲学のことが中心。
「ヘーゲルの弁証法についてどう思うか?」「三浦梅園の思想についてどう評価するか?」
真夏の長崎を一日中歩いて資料集めをしてきた後なので、疲れて瞼が閉じそうになると、「秋元君、ここからが面白いところだよ」と起こされるのです。ある意味地獄でした。ですが、面識さえなかった私に、無償で3食お酒付き、高尚な話までしてくださったご両親に、人情とはいかなるものか教えていただいた幸せな数日間でした。
東京に帰る時、「秋元君、私のつけた漬物がおいしいとたくさん食べてくれたでしょ。お土産に持っていきんしゃい」と手作りの漬物をたくさん持たせてくれたお母さん。
8月9日が来るたびに、あの暑かった長崎の夜を思い出します。
今度は私がその恩をお返しする番です。まずは、小宮町校に来てくれた生徒たちから始めています。