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2015.04.23

反復の効用~『シーシュポスの神話』から学ぶ~

 こんにちは。浅香山校の葛西です。
 
 ここ最近、生徒の授業をみていてちょっと気になる発言があったので、考えてみたい。
 「先生、それ、やり方わかったんで、つぎのを教えて!」と、やり方だけを聞いて、問題演習をすっ飛ばそうとする生徒がいた。かりに「やり方さえ知れば、その問題演習はしなくてもよい」と考えての発言であれば、テストの結果は、本人の想像以上に芳しくないものであろうことは、たとえば、テストを何度も経験している中3生であれば、想像に難くないだろう。せめて「後でちゃんと練習するから」と考えてのことであってほしい。

 言うまでもないが、問題の解き方を知るのは第1段階であって、つぎに、その解き方を、本当に使いこなせるのか試してみなければならない。うまくできなければ、何度も繰り返し練習しなければならないだろう。
 「先生、そんなことわかってますよ」と言う生徒が、本当にそれを実行しているのであれば、何も言うことはない。が、はたして、それをちゃんと実行できている生徒がどれだけいるだろう……。
 
 ギリシャ神話に「シーシュポスの神話」というエピソードがある。シーシュポスは、神々をたばかったことで、神々の怒りを買い、ある刑罰を受ける。その刑罰とは、休みなく岩を転がして、山の頂にまで運びあげるというものだった。しかしひとたび山頂まで達すると、岩はそれ自体の重さでいつも転がり落ちてしまう。シーシュポスは同じ動作を繰り返すが、結果はまた同じ……そんな話だ。
 
 この話から何を思うだろうか。「繰り返しは無益にして無意味な行動である」ということだろうか。わたしは、そうではないと思う。シーシュポスは本当に同じ動作を繰り返しただろうか。繰り返しのなかで、試行錯誤し、なにかを学んだのではないだろうか。たとえば、岩を楽に運び上げるコツとか…?
 
 ちょっと生徒におきかえてみよう。問題を繰り返すという行為が「徒労」に終わるだろうか。終わらない。君たちはそもそもシーシュポスのように罰を受けているわけでない。反復練習こそが、打開策である。テストの点数を押しあげたいのならば、試行錯誤しながら、繰り返せばよいのだ!

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