『アルジャーノンに花束を』という本をご存知でしょうか。アメリカのダニエル・キイスという作家が今から五十年ほど前に執筆し、今でも語り継がれる史上屈指の名著です。
ざっくりと内容を紹介すると、年齢は三十二歳だが知能は六歳児程度という主人公のチャーリーが脳手術を受けて天才へと変貌するというお話です。そんな方法があるならぜひとも受けてみたいものだと思いませんか?笑
ただ、その中で様々な葛藤や苦悩が彼を襲います。
知能は子供でも一生懸命で素直でまじめだった青年が、天才となったことで今まで気づかなかったことに気がついてしまう。友達だと思っていた人たちが実は自分を馬鹿にしておちょくっていただけだったこと。いい人だと思っていた同僚が実は店のお金をくすねていたこと。頭がいいと思っていた人たちは実はたいしたことなかったこと。
そして自分はいつの間にか誰よりも頭脳の優れた人間になっている。
手術前のチャーリィーはどれだけ勉強しても文章もろくに書けなかったけれど、まじめで一生懸命で、だからこそ沢山の理解者と友人がいた。天才になったチャーリィーは無意識ながら自分の知能をひけらかし、他人を見下し、正義感を振りかざし、周りに疎まれ、孤立していく。
同じく脳手術を受けて天才になったネズミのアルジャーノンの異変に気づいたチャーリィーは手術の調査に没頭し、そしてついに、この治療には決定的な欠点があることをつきとめます。ピークに達した知能はその後急速に低下していき、最終的には手術前を下回る知能へと下降してしまうのです。
僕は今までの人生で、あれほど涙が止まらなかったという経験はこの本を読んだとき以外ありません。勉強するっていうのはどういうことなのか。頭がいいってどういうことなのか。勉強すれば賢くなれるっていうのはどれだけ恵まれたことなのか。
僕たちは色んなことを当たり前に享受しすぎていて、それがどれだけ恵まれたことなのかを忘れてしまいがちです。「アルジャーノンに花束を」は、僕の教育観に大きな影響を与えてくれました。
本来ならばもっと詳しく話をしたいところですが、ネタばれになってしまうのでやめておきます。というのも、なんとこの物語が山Pことジャニーズの山下智久さん主演で4月からドラマ化されるそうなのです。
昔、ユースケ・サンタマリアさん主演でドラマ化されていましたが、そのリメイクということらしく、舞台は日本に変更されていて、設定も原作とは大きく異なっているようですが、おそらく大枠でのストーリーは原作と似たようなものになるんじゃないでしょうか。
僕はテレビをあまり見ないのでドラマにも詳しくはないですが、皆さんにはぜひこの『アルジャーノンに花束を』をチェックしてほしいと思います。(ドラマの詳細はこちらを http://www.tbs.co.jp/algernon2015/ )
なお、個別指導Wam庄内校には『アルジャーノンに花束を』を含め、教室長おススメの本が何冊か置いてありますので、ぜひぜひご覧くださいませ。