In his boredom, Shimamura stared at his left hand as the forefinger bent and unbent. Only this hand seemed to have a vital and immediate memory of the woman he was going to see. The more he tried to call up a clear picture of her, the more his memory failed him, the farther she faded away, leaving him nothing to catch and hold. In the midst of this uncertainty only the one hand, and in particular the forefinger, even now seemed damp from her touch, seemed to be pulling him back to her from afar. Taken with the strangeness of it, he brought the hand to his face, then quickly drew a line across the misted over window. A woman’s eye floated up before him. ( Yasunari Kawabata SNOW COUNTRY )
「・・・島村は退屈まぎれに左手の人差指をいろいろに動かして眺めては、結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている、はっきり思い出そうとあせればあせるほど、つかみどころなくぼやけてゆく記憶の頼りなさのうちに、この指だけは女の触感で今も濡れていて、自分を遠くの女へ引き寄せるかのようだと、不思議に思いながら、鼻につけて匂いを嗅いでみたりしていたが、ふとその指で窓ガラスに線を引くと、そこに女の片眼がはっきり浮き出たのだった。」
こんばんは。河西貴志高等部からです。川端康成「雪国」のお気に入りの一文から引用しました。
今日は英語の「見る」について簡単に見ていきましょう。英語はやはり視覚に関しての動詞が発達していて、色々な単語がありますよね。see や look at や watch のような有名なもの以外にも、上記英文にも出ている stare at や gaze at や observe のような受験英語でもおなじみの単語たちです。
まず、 stare at や gaze at から。両方「じっと見つめる」という意味がありますが、stared at には美しい対象を湿度のあるまなざしで見るというニュアンスがありますね。対して gazed at にはそのような意味あいはありません。あと、glare at は「にらむ」という意味になります。
When he is drunk, he will glare at you with wild eyes.
observe は、watchに似ているのですが、やや硬質の表現です。
To acquire knowledge, one must study; but to acquire wisdom, one must observe.
「知識を得るには学ばねばならないが、知恵を得るには観察をしなければならない。」
まとめると、
stare は「じろじろ見る、凝視」
gaze は「じっくり見る、熟視」
glare は「にらみ見る、敵視」
watch は「動くものを見る、注視」
observeは「観察する、監視」
以上、分かりましたか。