教室ブログ

2014.05.13

河西貴志高等部便りその26

Then I noticed the pack of cigarettes in my other pocket. I took one out and started smoking. I felt like a man who settles down for a smoke after finishing a job of work. I wanted to live. ( Yukio Mishima The Temple of the Golden Pavilion )

「別のポケットの煙草が手に触れた。私は煙草を喫んだ。一ト仕事を終えて一服している人がよくそう思うように、生きようと私は思った。」

こんにちは。河西貴志高等部からです。
5月も半ばを過ぎましたが、新生活には馴染んできたでしょうか。受験生であればここで心機一転、中長期的な展望で勉強計画を立てて、その方法・素材(テキスト等)を選択していける時期だと思います。

ただし、勉強計画なんてものは一種の決意表明に過ぎません。早い話がなかなか想定どおり進むものではないから、あくまで内容を重視して修正していくことが大事だと思われます。

さて、いまは大々的に講師募集をかけ採用面接をしている時期でもありますが、皆さんは条件の制御あるいは変数の分離という言葉は知っているでしょうか。

知っている人もいるかもしれませんが、これはある結果が生じたとき、その真の原因を選び抜く作業のことを指します。勿論、そのためにはその他の原因らしきものを一定にしておかなければなりません。

たとえ話をしましょう。塾に来ている高校生の成績が突然、ぐんと下がった。

早速普段使っているテキストを変えてみた。しかしながら、成績は回復しない。
本人を呼んでみて家庭や学校での様子を聞いたが、特に変わったところはない。

ある日、担当の講師が長期休暇に入って、新しい講師が担当し始めると、みるみると成績が回復した。

だとしたら成績が回復した原因は?どう判断するでしょう。
成績が下がった原因は講師にあり、と。
これが条件の制御(変数の分離)のアイディアですね。

まとめると、ある結果の原因が何であるかを確かめようとするとき、原因らしいものを、a, b, c,…., z をまずピックアップしてみます。それで、b, c,……,z を一定(不変)にしておいて、aだけを変化させてみます。このとき、やはりその結果が得られれば、aが原因であったと推論できますね。このことを条件の制御というわけです。

これは、世の事象については滅多にやれることではないですし、政治や経済の因果関係のように複数連関の中で相互に同時に決めあうようなものには適用しにくいです。

ただ、個別指導という形態の中では色々実験的に試行できると思っています。何よりも、変数(要因)の間の関係がわりと単純ですからね。線形因果(linear causality)というやつです。そして、個別指導の場合、その有力な変数の一つが講師にあるといえるのです。

長々と書きましたが、今日は以上です。


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